[I-SY2-2] 網羅的サイトカイン測定・動態解析から川崎病、MIS-Cの病態を理解する
キーワード:網羅的サイトカイン解析, 川崎病, 小児多系統炎症性症候群
【背景・目的】川崎病は多様なサイトカインが上昇する疾患である。同様にサイトカインストームを呈する疾患は多々あるが、臨床像や過去の研究から主体となる免疫細胞やサイトカインの種類は多様であることが想定される。また川崎病の中でも重症例や治療抵抗例では、サイトカイン動態が違う可能性がある。本発表では、川崎病(KD)およびCOVID-19関連小児多系統炎症性症候群(MIS-C)の病態比較を中心に、網羅的サイトカイン測定・サイトカイン動態解析の有用性について紹介する。
【方法】BioRAD社のシステムを用いて0.1mlの血清から68~98項目のサイトカインが測定可能である。小児の検体採取量は必要最低限であるが、この方法により通常検査の残検体を用いても十分な検討が可能である。特定の項目に限定せず網羅的に測定し、川崎病vs MIS-C、追加治療の要否などについて発症時の値を群間比較することで、各病態で特徴的な因子を探索する。また、症状変化や治療効果とサイトカインの経時的変化の関連を明らかにする動態解析も有用である。
【結果】MIS-C17例、川崎病15例の解析を行った。重症MIS-C(循環管理を要した症例、中枢神経症状を呈した症例、血漿交換を要した症例)で、それ以外のMIS-Cや川崎病と比べて、診断時高値を示す4因子を同定した。IVIG+ASA±PSL以外の追加治療を要した症例では、追加治療前の検体で上記4因子のうち3因子の低下が不十分であった。
【考察・結論】MIS-Cの重症度や治療反応性と関連する血清マーカーを同定した。網羅的に多因子を測定することは、想定外の因子の同定が可能であり、病態理解においても有用である。今後は、フローサイトメトリやシングルセル解析、培養細胞系等、他の研究手法と連携した解析を行うことにより、さらなる病態解明が期待される。
【方法】BioRAD社のシステムを用いて0.1mlの血清から68~98項目のサイトカインが測定可能である。小児の検体採取量は必要最低限であるが、この方法により通常検査の残検体を用いても十分な検討が可能である。特定の項目に限定せず網羅的に測定し、川崎病vs MIS-C、追加治療の要否などについて発症時の値を群間比較することで、各病態で特徴的な因子を探索する。また、症状変化や治療効果とサイトカインの経時的変化の関連を明らかにする動態解析も有用である。
【結果】MIS-C17例、川崎病15例の解析を行った。重症MIS-C(循環管理を要した症例、中枢神経症状を呈した症例、血漿交換を要した症例)で、それ以外のMIS-Cや川崎病と比べて、診断時高値を示す4因子を同定した。IVIG+ASA±PSL以外の追加治療を要した症例では、追加治療前の検体で上記4因子のうち3因子の低下が不十分であった。
【考察・結論】MIS-Cの重症度や治療反応性と関連する血清マーカーを同定した。網羅的に多因子を測定することは、想定外の因子の同定が可能であり、病態理解においても有用である。今後は、フローサイトメトリやシングルセル解析、培養細胞系等、他の研究手法と連携した解析を行うことにより、さらなる病態解明が期待される。