The 60th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Symposium

Symposium 3

Thu. Jul 11, 2024 1:10 PM - 2:40 PM ROOM 4 (4F 411+412)

座長:古道 一樹(東京都立大塚病院 小児科)
座長:石田 秀和(大阪大学大学院医学系研究科 小児科学)

[I-SY3-1] RASopathiesの遺伝子型表現型相関と病態解明

青木 洋子 (東北大学 大学院医学系研究科 遺伝医療学分野)

Keywords:先天異常, がん原遺伝子, 肥大型心筋症

Nooan症候群類縁疾患は低身長・先天性心疾患・骨格異常などを示す常染色体顕性遺伝(優性遺伝)性疾患 (一部は潜性遺伝(劣性遺伝))である。Noonan症候群類縁疾患にはNoonan症候群、Costello症候群、cardio-facio-cutaneous (CFC)症候群、Noonan様症候群等が含まれる。これまでにRAS/MAPKシグナル伝達経路の様々な分子に変異が同定され、総称してRASopathiesと呼ばれている。2001年に初めてNoonan症候群の原因遺伝子であるPTPN11が同定されて以来、新規原因遺伝子が次々と報告されているが、まだその変異の意義が不明なものも多い。最近Noonan症候群の原因遺伝子として同定されたLZTR1はその機能が不明であったが、RASをユビキチン化し分解する機能を有することが明らかになった。がん原遺伝子RASの活性化において、GTP結合による活性化以外に、量的な増減が下流のシグナルを活性化する可能性を示唆している。LZTR1のバリアントは比較的頻度が高く同定されるが、病的かどうか判定するのが難しい場合も多い。原因遺伝子が明らかになるにつれて原因遺伝子と症状の相関が明らかになってきた。Noonan症候群類縁疾患では肥大型心筋症や先天性心疾患を合併するが、その合併頻度も原因遺伝子毎に異なることが報告されている。さらに、まだ研究段階であるが、肥大型心筋症やリンパ管異形成に対するパスウェイ阻害剤投与よる検討結果が、海外のグループから報告されてきている。 本講演ではRASopathiesの疾患スペクトラムや遺伝子表現型相関、新しい診断基準と健康管理、疾患モデルマウスを用いたメカニズム解明研究の成果について概説します。