[I-SY3-2] 心筋緻密化障害の遺伝的多様性と遺伝情報の予後推定への活用
Keywords:心筋緻密化障害, 遺伝子, 予後
心筋緻密化障害は、心外膜側の薄い緻密化層と、心内膜側の厚い肉柱の網状構造の2層を成す疾患群とされる。心筋緻密化障害の遺伝学的背景として、弧発性と家族性と双方みられ、4割程度に家族例が認められる。X連鎖性の他、常染色体顕性、常染色体潜性あるいはミトコンドリア遺伝子異常が報告されており、遺伝的多様性が特徴である。近年の報告では、小児では4割程度に遺伝子変異異常があると考えられている。
心筋緻密化障害では、心臓突然死のような有害事象のリスクが高い患者や予後不良の患者群も存在するため、正しく診断し、リスクのある患者を特定することは、最適な治療とフォローアップのために極めて重要である。そこで、我々は、心筋緻密化障害患者の遺伝的多様性と遺伝情報の予後推定の実現可能性を検証するため、心筋緻密化障害患者の遺伝子型・表現型連関を検証した。心筋緻密化障害患者の表現型を拡張型群、不整脈群、先天性心疾患合併群、または正常機能を有する群と分類し、遺伝子型をサルコメア遺伝子群、イオンチャネル遺伝子群、ミトコンドリア遺伝子群、その他と分類し、これらの相関と予後について検証した。その結果、拡張型群が予後不良でありサルコメア遺伝子群が多く含まれていた。また、不整脈群では心室頻拍を合併することが多くイオンチャネル遺伝子群が多く含まれていた。正常機能を有する群は予後が比較的良好であり、病的バリアントの検出が他群と比べて低率であった。このことから、一部の患者において遺伝情報が予後推定に役立つ可能性が示された。
近年、心筋症において、遺伝学的要因が徐々に明らかにされてきているが、遺伝子・表現型相関が明らかであるのは一部に過ぎず、診療の場において有用なエビデンスは十分ではない。今後の家系情報を含めた臨床情報収集と遺伝情報の蓄積が重要と思われる。
心筋緻密化障害では、心臓突然死のような有害事象のリスクが高い患者や予後不良の患者群も存在するため、正しく診断し、リスクのある患者を特定することは、最適な治療とフォローアップのために極めて重要である。そこで、我々は、心筋緻密化障害患者の遺伝的多様性と遺伝情報の予後推定の実現可能性を検証するため、心筋緻密化障害患者の遺伝子型・表現型連関を検証した。心筋緻密化障害患者の表現型を拡張型群、不整脈群、先天性心疾患合併群、または正常機能を有する群と分類し、遺伝子型をサルコメア遺伝子群、イオンチャネル遺伝子群、ミトコンドリア遺伝子群、その他と分類し、これらの相関と予後について検証した。その結果、拡張型群が予後不良でありサルコメア遺伝子群が多く含まれていた。また、不整脈群では心室頻拍を合併することが多くイオンチャネル遺伝子群が多く含まれていた。正常機能を有する群は予後が比較的良好であり、病的バリアントの検出が他群と比べて低率であった。このことから、一部の患者において遺伝情報が予後推定に役立つ可能性が示された。
近年、心筋症において、遺伝学的要因が徐々に明らかにされてきているが、遺伝子・表現型相関が明らかであるのは一部に過ぎず、診療の場において有用なエビデンスは十分ではない。今後の家系情報を含めた臨床情報収集と遺伝情報の蓄積が重要と思われる。