The 60th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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Oral Session

心筋心膜疾患

Oral Session (II-OR13)

Fri. Jul 12, 2024 8:00 AM - 9:00 AM ROOM 6 (4F 401-403)

座長:藤原 優子(町田市民病院 小児科)
座長:山村 健一郎(九州大学病院 小児科)

[II-OR13-06] Two cases of Pompe disease with dramatically improved cardiac leasion after administration of a new enzyme replacement drug

平田 悠一郎, 小林 優, 松岡 良平, 豊村 大亮, 寺師 英子, 長友 雄作, 永田 弾, 大賀 正一 (九州大学病院 小児科)

Keywords:Pompe病, 酵素補充療法, 肥大型心筋症

【緒言】Pompe病はグリコーゲンを分解するライソゾーム酵素である酸性αグルコシダーゼの欠損を主病態とする疾患である。最重症型である乳児型は、生後数か月頃から全身骨格筋や呼吸筋の筋力低下、進行性肥大型心筋症を呈し、自然歴では多くが生後1年以内に死亡する。酵素補充療法が根本治療で、2007年にアルグルコシダーゼアルファ(ALGLU)が保険収載され治療に用いられてきたが、2021年には細胞内への酵素取り込みを改良した新たな酵素補充薬アバルグルコシダーゼアルファ(AVAL)が保険収載された。AVAL投与により、心病変が劇的に改善した2症例を報告する。
【症例1】3歳、女児。新生児マススクリーニングにて酸性αグルコシダーゼの低値を指摘され精査に至り、GAA遺伝子変異を認め、乳児型Pompe病と診断された。月齢1より酵素補充療法としてALGLUを開始し、1歳時にAVALへ変更した。診断時から既に全周性の心筋肥厚を認めたが(中隔壁厚4.7mm)、製剤変更後に中隔壁厚は5.1mmから4.4mmへと改善した。現在、運動機能に関して正常に近い発達が得られている。
【症例2】15歳、男児。月齢5に頸座の遅れから精査に至り、GAA遺伝子変異を認め、乳児型Pompe病と診断された。診断時よりALGLUを投与したが、1歳2か月で寝たきり状態となり、1歳7か月で在宅人工呼吸器を導入した。診断時から既に全周性の心筋肥厚を認め(中隔壁厚22mm)、ALGLU投与を継続するも心筋肥厚は経年的に増悪し、心室期外収縮も認めるようになった。12歳時にAVALへ変更後、中隔壁厚は25mmから13mmへと著明に改善し、心室期外収縮も減少した。
【結語】Pompe病は早期に診断し、酵素補充療法を開始することが肝要である。AVALは早期に開始できた症例はもちろん、診断から年月を経過した症例に対しても有効で、心病変に対する劇的な効果を得ることができる。