The 60th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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Oral Session

術後遠隔期・合併症・発達

Oral Session (II-OR16)

Fri. Jul 12, 2024 12:40 PM - 1:40 PM ROOM 6 (4F 401-403)

座長:岩田 祐輔(岐阜県総合医療センター 小児心臓外科)
座長:金子 幸裕(国立成育医療研究センター 心臓血管外科)

[II-OR16-02] Treatment strategies for left pulmonary artery stenosis long-term after Fontan operation

高畑 明日香, 板橋 立紀, 佐々木 大輔, 阿部 二郎, 永井 礼子, 山澤 弘洲, 武田 充人 (北海道大学病院 小児科)

Keywords:Fontan循環, 左肺動脈狭窄, ステント治療

【背景・目的】Fontan術後の至適左肺動脈径は不明である。術後遠隔期の至適左肺動脈径を求め、ステント留置術を含めた治療戦略を考案する。【方法】左肺動脈引抜き圧較差2mmHg以上を血行動態的左肺動脈狭窄(hemodynamic LPS, hLPS)とした。左肺動脈径(LPAd(mm))は心血管造影正面像における左肺動脈の第一分枝までの最小径と定義し、体格補正値(LPAd/√BSA(mm/m))を用いた。1995-2005年出生で就学前から当科でカテーテル検査のフォローを開始したFontan術後で、右肺動脈狭窄がなく、左右の肺血管床が正常に発達している27例を対象とした。就学時、小学校卒業時、高校卒業時のすべての期間に心臓カテーテル検査が行われ、hLPSを認めなかった9例についてLPAd/√BSAを求め、各年齢層における必要肺動脈径を求めた(1)。また、就学時に心臓カテーテル検査を行ったFontan術後63例について(1)で求めた必要肺動脈径を形態的な左肺動脈狭窄(morphological LPS, mLPS)のcut-off値とした場合のhLPSの検出率を求めた(2)。【結果】(1)各年齢層における必要左肺動脈径は LPAd/√BSA>10だった。(2) 就学時全体、hLPS(-)群、hLPS(+)群におけるLPAd/√BSA中央値はそれぞれ、11.2、11.7、6.8だった。LPAd/√BSA>10をmLPSの cut-off値とした場合、hLPSを検出する感度は81%, 特異度98%(カイ2乗検定, p<0.001)だった。【考察・結論】本研究結果から、就学以降のFontan術後の必要LPAdは10x√BSA (mm)と判断した。就学時にhLPSがなくとも、mLPSを認めた場合は将来のhLPSのリスクが高いと考え、ステント留置などの積極的な介入を考慮すべきである。日本人平均BSAからは必要LPAdは成人男性14mm、成人女性12mm程度と算出される。ステント留置時は、これらの必要径までの後拡張を視野にいれてステントを選択することが望ましく、ステント留置による必要径までの拡張が困難と予想される場合には外科的介入も検討すべきである。