[II-OR16-06] Reflecting on Preoperative Risk Factors for Improving Long-Term Outcomes in HLHS
Keywords:左心低形成症候群, 蛋白漏出性胃腸症, Fontan
背景:蛋白漏出性胃腸症(PLE)や鋳型気管支炎(PB)は発症すると頻回の入院によるQOL低下や生命予後に関わる難治性疾患である. 今回Fontan手術到達後のHLHS症例をPLE・PB発症例を中心に後方視的に検討した. 方法:当院で初回治療から介入を行ったHLHS(variantは除く)患者のうち現在の治療戦略(bil PAB→Norwood→BDG→fenestrated TCPC)をとった2011年以降にFontan手術に到達し, 現在もフォロー中の24例を対象とした. TCPC術後にPLE・PBを発症した群(P群)を発症していない群(N群)と比較してTCPC術前リスク因子についての検討を行った. 結果:対象の24例のうちPLE4例(16.6%), PB1例(4.1%)であった. TCPC到達から初回発症までの平均期間は37.5ヶ月で発症時の平均年齢は5.9±1.7歳であった. 寛解はPLEの1例のみであった. 出生体重(P群2689±177g vs N群2788±384g)やFontan到達年齢(2.2±0.4歳vs 2.2±0.5歳)や体重(9.5±0.3kg vs 9.9±1.3kg)について優位差は認められなかった. またTCPC術前の評価項目として肺動脈圧(14.0±2.7mmHg vs 11.3±2.5mmHg), Rp index(2.1±0.6 Unit・m 2 vs 2.2±0.9 Unit・m 2)やEDP(10.2±3.6mmHg vs 7.1±2.4mmHg), Qs(5.4±2.4ml/min vs 3.8±0.8ml/min)と有意差は認められなかったが, PA Index(PAI)は(114.0±18.5 mm 2/BSA vs 145.1±32.1 mm 2/BSA;P<0.05)と有意差が認められた.考察:従来よりFontan手術の適応条件としてPAIは広く用いられてきたが, 今回の検討ではPLEやPBといったフォンタン術後合併症のリスク因子にも関与している可能性が示唆された. Fontan待機中でPAIが低い症例に対してのIPASが検討されており今後肺血管床に対して積極的な介入も考慮される. 結語: HLHSに対する治療成績は改善してきたが, より良いフォンタン循環を見据え今一度肺血管床に注目した治療戦略が必要と考えられる.