[II-OR17-05] Current status of the end of life care in adult congenital heart disease patients
Keywords:成人先天性心疾患, 終末期医療, 緩和医療
【背景】医療の発達により先天性心疾患患者の予後は大きく改善し、ほとんどの患者が成人を迎え、長期的に生存することが可能となっている。先天性心疾患患者は心不全あるいは心不全リスクが長期にわたり持続する病態で心不全のステージBであり、長い心不全の経過の中で将来に向けた自発的な意思決定のプロセス(アドバンス・ケア・プラニング、 ACP)が重視されるようになってきている。【目的】当院フォロー中の成人先天性心疾患患者の終末期医療についての実際を把握すること。【方法】当科フォロー中の18歳以上の成人先天性心疾患患者のうち2016年から2023年までの8年間に死亡した症例について、ACPの実施や時期、心不全入院回数、訪問看護や訪問診療などの含めたチーム医療の導入の有無、療養場所の希望などの意思決定支援の有無、症状緩和のためのケアの有無、死亡時年齢・原因・場所などについて検討した。今回の検討では外科的手術関連死亡は除いた。【結果】対象は75例(男性44例)、死亡時年齢の中央値は46.4歳(19-84歳)、原疾患は単心室のフォンタン術後14例、単心室で姑息術後もしくは未修復9例、残りは2心室循環でファロー四徴症22例、体心室右室6例、未修復によるアイゼンメンジャー症候群など肺高血圧は9例であった。調査期間後半のほうがACPの実施頻度は増加し、2021年以降では自宅での看取りを本人もしくは意思決定を本人ができず家族が希望した場合に、訪問診療へ移行退院し自宅で看取りを行ってもらった症例が年に数例ずつみられた。【結語】生活背景や家族背景が多様で、疾患や年齢が多岐にわたっていることから緩和ケアなどについては個々の状況に合わせた対応が必要であったが、ここ3年ではACPを行い自宅での看取りを希望した患者では訪問診療に連携をお願いし、自宅での看取りを行った患者がいた。今後も地域を含めた多職種にわたる体制構築を行っていく必要があると考えられた。