The 60th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Oral Session

心血管発生・基礎研究

Oral Session (II-OR19)

Fri. Jul 12, 2024 9:10 AM - 10:00 AM ROOM 7 (4F 404-406)

座長:横山 詩子(東京医科大学細胞生理学分野)
座長:上砂 光裕(日本医科大学 / 日本医科大学多摩永山病院小児科)

[II-OR19-05] Hypoxia and pulmonary artery banding maintained contractile capacity for diastolic dysfunction rats due to improvement of myocardial energy efficiency

伊藤 怜司, 浦島 崇, 糸久 美紀 (東京慈恵会医科大学小児科学講座)

Keywords:低酸素血症, 右室不全, 圧容積曲線

【背景】近年チアノーゼ性先天性心疾患(CCHD)の治療成績は向上したが、狭窄病変やチアノーゼ残存により心不全が遷延する。主心室の多くは右室であるがCCHDにおける右室リモデリングは未だ不明である。我々は低酸素飼育肺動脈絞扼ラットを用いてミトコンドリア(mt)動態を中心に報告してきた。今回、心室機能を圧容積曲線により解析し報告する。
【目的】低酸素飼育肺動脈絞扼ラットによる心室機能を解析する
【方法】SDラットを低酸素環境(13%)で飼育し4週齢時に肺動脈絞扼術(PAB)を施行する。低酸素飼育を継続し3週後にMillarカテーテルを心尖より挿入し圧容積曲線を計測した。結果は大気飼育群と比較した。
【結果】対象はPABを施行した低酸素群(PBH)n=10, 大気群(PBR)n=7, PABを施行していない低酸素対照群(CH)n=8, 大気対照群(CR)n=11。右室負荷所見は同等(RV/LVIVS比PBH0.65±0.03, PBR0.76±0.04(p=0.07))、収縮能は維持(EF(%)LV: PBH72.4±5.0, PBR72.3±7.2(p=1.0) RV: PBH59.2±6.3, PBR70.8±5.6(p=0.49))された。拡張能は左室で低下傾向(-dP/dt LV: PBH-4423±654, PBR-4448±276, CH-5851±276, CR-5192±585(p=0.10))、心不全指標であるEa/Eesは低酸素群で左室は向上し右室は低下(LV: PBH0.79±0.05, CH1.25±0.24(p=0.02) RV: PBH1.60±0.22, CH1.02±0.11(p=0.03))した。心室エネルギー効率を表すSW/PVA(%)は両心室共に上昇(LV: PBH83.6±4.5, CH73.1±5.1(p=0.14) RV: PBH69.9±6.5, CH47.3±6.4(p=0.03))した。
【結論】圧容積曲線を用いることで収縮能のみならず心筋代謝の評価が可能であった。心筋は豊富なmtで酸素を介してエネルギーを産生・備蓄し、病態に対応している。本モデルの結果は二重負荷により収縮能は維持されたが、Ea/Eesは右室が上昇する一方で左室は拡張障害を伴うものの低下した。両心室共にSW/PVAは上昇し、心室間の差はmtのエネルギー産生効率に原因があると考えられた。