[II-OR20-02] 13N-アンモニアPETによる心筋血流定量を考慮した川崎病後冠動脈病変の血行動態の検討
キーワード:川崎病, 心筋虚血, アンモニアPET
【背景】川崎病後冠動脈病変(CAL)は拡張性病変と狭窄性病変が共存し複雑な冠血行動態を呈し、冠血行動態の評価が重要となる。【目的】今回我々は川崎病後CALにおいて、13N-アンモニアPETによる心筋血流定量(MBF)を考慮して、心筋血流予備量比(FFR)と心筋血流予備能(MFR)の関係を検討し、その臨床的有用性を検討した。対象:2012年4月から2021年12月までに日本医科大学付属病院で、心臓カテーテル検査と13N-アンモニアPETを施行した19例(男性 18例、女性 1例)のうち冠動脈枝24枝を対象とした。【結果】FFRとMFRの結果が一致しないものは5枝あり、FFRが正常値であるがMFRが異常値であるものが2枝、FFRが異常値でMFRが正常値であるものが3枝であった。MBFとFFR、MFRの関係を検討すると、安静時では、MFRの異常群は正常群と比べて有意に高値であった(0.86±0.13 vs. 1.08±0.09, p=0.001)。アデノシン負荷時では、FFRの異常群は正常群と比べて有意に低値であった(2.23±0.23 vs. 1.88±0.29, p=0.021)。FFR異常群のうち、側副血行路を認めるとstress MBFは高い傾向にあった(2.03±0.25 vs. 1.73±0.26, p=0.149)。【考察】MFRのみ異常値を呈した2枝は、対象枝の安静時血流が多いことと巨大瘤により安静時の細動脈が拡張しているためMFRが異常値であると考えらえた。一方FFRのみ異常値を呈した3枝は、狭窄性病変を有するが側副血行路にて血液が供給されるため末梢循環障害を認めずMFRが正常値である可能性が考えらえた。FFRとMFRはともに心筋虚血の指標であるが、MBFの絶対値を考慮することでより詳細な冠循環動態を評価することが可能である。