[II-OR22-02] 総肺動脈還流異常症を合併した単心室症に対する房室弁形成術の重要性
キーワード:総肺動脈還流異常症, 単心室症, 房室弁形成術
【背景・目的】近年、総肺動脈還流異常症(TAPVC)を伴った単心室症の治療成績は改善傾向にある。しかしながら生存例が増加するにつれ房室弁逆流を含む心機能の維持も予後改善に向けて重要な課題である。TAPVCを合併した単心室症に対する房室弁形成の治療成績について報告する。【方法】2011年10月以降TAPVCを合併した単心室症16例中、7例(44%)に房室弁形成術が必要であった。房室弁形態は、三尖弁が4例、共通房室弁が3例。術前評価は小児循環器医に房室弁逆流部位や弁、弁下組織の性状を可能な限りSurgeon’s viewを描出してもらい、詳細に検討し弁形成術の術式を選択している。【結果】房室弁形成術は7例に14回(1-3回/例)施行していた。房室弁形成術の時期は、TAPVC修復時2回、Glenn手術前6回、Glenn手術時2回、TCPC手術前2回、TCPC手術時2回。初回房室弁形成術時年齢中央値3ヶ月(1日-2歳)、体重中央値3.27 kg(3.07 kg- 8.98 kg)。房室弁形成術式は、Edge to edge repair 7例、Interannular bridge 6例、弁輪縫縮6例に加えて自己心膜による弁尖延長 、一側房室弁閉鎖、二弁口化がそれぞれ 1例であった。弁逆流軽減のために弁形成術と同時にBTシャントからRV-PA conduitに肺血流路を変更し有効であった症例が1例あった。全例弁逆流はmoderate未満に制御されており、弁置換術を必要とした例はなかった。7例中2例が肺静脈狭窄により死亡したが、2例がTCPC到達し、3例がTCPC待機中である。【結語】房室弁逆流の成因は多様であり、ほとんどの症例で新生児、乳児期早期から外科的介入を行い、複数回の房室弁形成術を必要とした。房室弁逆流に対し積極的に外科的治療介入を行うことで、更なる治療成績の向上が期待される。