[II-OR22-04] 当院における体肺動脈短絡術の治療成績の検討
キーワード:肺動脈短絡術, 動脈管ステント留置術, 治療成績
【背景】外科的体肺動脈短絡術(SPS)は動脈管依存性の先天性心疾患の新生児において肺血流を確立するための標準的なアプローチであるものの高い院内死亡率が問題であり、動脈管ステント留置術(DS)の手術成績が高く、SPSの代替手段として注目されている。【目的】当施設におけるSPSの治療成績を検討し、有力な代替手段として報告されているDSの治療成績と比較検討する。【方法】2010年1月から2023年12月の14年間でSPSを施行した122例の治療成績について検討した。対象は3か月以内のSPS単独例とした。主要な転帰として術後ECMOを要した症例、シャント閉塞、院内死亡で評価した。【結果】対象患者の日齢は42.2±23.1days、体重は3.62±0.83であった。対象疾患は単心室症 30例、PA/VSD 25例、ToF 16例、PA/IVS 15例、DORV 14例とその他ccTGA、TGA、AVSD、TAであった。周術期の転帰は、術後ECMOを要した例が2例(1.6%)、シャント閉塞が9例(7.3%)、院内死亡が2例(1.6%)、遠隔死亡は1例であった。また2014年以降において院内死亡は認めなかった。【考察】他施設の研究によるとSPS後患者のシャント閉塞は8.9-9.2%、院内死亡率は3.5-14.6%と報告があり、当施設のSPSの成績は比較的良好なものであると考えられる。またEleonoreらの研究によると動脈管ステント留置術はSPSに比して再介入率は高いものの、術後合併症および長期死亡率(4.3%)は低い傾向があると報告されている。このようにDSは侵襲性の低いアプローチかつ合併症や長期死亡率の点で有意と考えられているが、当施設の治療成績を鑑みると、現時点で治療成績の定まっていないDSを積極的には選択しがたいといえる。【結論】我々の治療戦略としては、動脈管依存性心疾患に対するアプローチとしてSPSを施行することで良好な成績を得られていると考える。