[II-OR22-06] 下大静脈欠損を伴う単心室症例のTCPS手術時期の検討
キーワード:AIVC, TCPS, 肺動静脈瘻
【背景】下大静脈欠損症例ではTCPS術後、肝静脈血が肺血管床から離断されるために肺動静脈瘻(PAVF)が進行すると知られる。PAVFは肝静脈血を肺循環に導くTCPC後には消退するが、中には遠隔期までPAVFが残存する症例も存在する。【目的】TCPS、TCPC手術の至適時期を検討すること。【対象および方法】当院で1997年以降TCPS手術を行った連続15例についてTCPS、TCPCまでの待機期間の設定と、PAVF予防もしくは発生したPAVFの消退の経過について後方視的に検討した。心カテ時のコントラストエコーが陽性の症例をPAVFありと判断した。TCPCの術式は、肺静脈血が両肺に流入するように設定した。【結果】TCPS施行時期は3-189か月(中央値7か月)で、TCPS術前に7例がHOTを導入していた。非導入8例のSpO2は68-83%(中央値77%)だった。TCPS術直後のHOT使用は3例あり、非使用例ではSpO2は83-90%(中央値85%)だった。TCPS-TCPC期間は5-34カ月(中央値13カ月)だった。TCPC術前の心カテでは、10/15例でコントラストエコーを行い、うち9例で陽性で、HOT使用中の1例を除いたSaO2は73-93%(中央値84%)だった。術後、HOT導入例は4例あったがいずれも退院後早期に中止できた。TCPC1年後の心カテでは、全症例でSaO2は90%以上(92-97% 中央値95%)に上昇した。TCPC前後でコントラストエコーを施行した5例中4例でPAVFの改善を確認できた。【考察】既報通りTCPC前には高率にPAVFを合併したが、TCPC後にはすべての症例がSaO2 90%以上維持し、PAVFの軽減が示唆された。コントラストエコーで陽性が持続する症例でもSaO2は良好でありTCPC1年後までの経過ではPAVFは軽度に抑制されていることが推察された。