[II-P01-3-02] A case of an 11-month-old boy with Kawasaki disease suspected to be involved in the development of complete atrioventricular block
Keywords:川崎病, 完全房室ブロック, ペースメーカー
【緒言】小児期に発見される器質的心疾患のない完全房室ブロック(CAVB)の多くは徐脈を契機に診断されるが発症起点は不明なことが多い。この度我々はCAVBの発症に川崎病の関与が疑われる一例を経験したため報告する。【症例】生後11ヶ月、男児。X年9月、発熱2日目に当院を紹介受診し、川崎病主要症状6項目すべてを認め治療目的に入院した。入院時WBC 13,000/μL、CRP 0.12 mg/dL、BNP 79.5pg/mL、CK 144U/L、高感度トロポニンI 検出感度未満。小林スコア3点。心エコー検査で中等度の僧帽弁閉鎖不全症を認めたが心収縮良好で冠動脈病変は認めなかった。入院当日から免疫グロブリン療法(IVIG)を開始した。入院時は心拍数130回/分であったが次第に低下し、1時間後には62回/分となりCAVBを呈した。入眠すると40回台/分となり、心室補充調律が出現したため高次医療機関へ転院とした。IVIG施行後は速やかに解熱したが治療後もCAVBは残存した。恒久的ペースメーカーの適応が考慮されたが、Holter心電図検査では平均心拍数 58回/分であり、全身状態良好で失神歴を認めず見送られた。現在も外来経過観察中である。なお、母の抗SS-A抗体は陰性であった。【考察】川崎病における房室結節機能異常には心筋炎や刺激伝導系への微小循環の異常が関与すると推察されている。急性期に房室ブロックを呈する症例の報告はあるものの、本症例のようにCAVBに至った症例や急性期以後も房室ブロックが残存する症例は少ない。本症例では冠動脈瘤形成や心筋の虚血性変化を認めなかったものの、CAVBの発症に川崎病による刺激伝導系障害が関与した可能性が考えられた。【結語】小児期に発見されるCAVBの発症起点は不明なことが多い。川崎病はその原因のひとつである可能性がある。