[II-P01-3-03] Statin therapy for adult patients with Kawasaki disease developing coronary aneurysms
Keywords:Kawasaki disease, Adult patients with coronary aneurysms, Statin therapy
「背景」川崎病冠動脈異常のある成人の動脈硬化進展は今後の大きな課題と思われる。「目的」乳幼児期に川崎病冠動脈瘤を発症、20年前後を経た時点におけるコレステロール値が高い5人の患者さんにおける動脈硬化の進展予防として食事療法やスタチン治療を実施した。その経過を報告する。「対象と方法」川崎病の発症は1歳-7歳で現在年齢は26歳-42歳(平均35歳)、全員男性、現在は全員が社会人として勤務している。発症時の初期治療は免疫グロブリン4人、ステロイドパルス1人であり、それぞれが異なる病院にて治療を受けその後に紹介された。冠動脈異常は両側にみられ、瘤の最大径は全員が6mm以上(最大17mm)、無症状の冠動脈閉鎖を2人に合併した。心筋梗塞発作はいずれも認めず、虚血の強い1人にはACバイパスを実施した。これら患者さんの脂質異常の有無をモニターしながら虚血の進展もMRI画像で定期的に検討した。「結果」発症後16年-29年(平均22年)でLDLが157-183(平均175)を示した時点でスタチンを開始した。基本はリピトールを1日5mgで、血液データをもとに1日2.5あるいは7.5mgに調整している。スタチン開始後平均6年となった現在、LDLは減少し全員が120mg/dL未満で、LDL/HDL比率は3未満である。BMIは1人を除く4人では21-23を維持している。スタチン服用による横紋筋融解などの副作用はみられていない。「考察」動脈硬化対策としてバランスの良い食事を摂ること、適度な運動を行って適正体重を維持することを指導している。現時点では心筋虚血症状は診られていない。スタチンにはLDLを低下させる機能に加えて、血管内皮機能の改善、抗酸化作用、抗血栓機能があり、今後も川崎病冠動脈異常の患者さんにおける治療経過を評価していきたい。