[II-P01-3-04] 冠動脈病変を認めたため第10病日以降にIVIG療法を施行した“くすぶり型”川崎病の2例
キーワード:川崎病, くすぶり型, 冠動脈病変
【背景】川崎病の一部に、免疫グロブリン静注(IVIG)を施行することなく病初期に自然解熱し、その後軽度の炎症反応が持続し、しばしば冠動脈病変をきたす、“くすぶり型”川崎病が存在する。【症例】(症例1)5ヶ月の男児。第1病日、38.4℃の発熱が出現した。第5病日に自然解熱したがその後川崎病主要症状は1-4/6症状で経過した。第13病日に近医で心臓超音波検査を実施され、左冠動脈主幹部は2.4mm(Z score; +2.1)と明らかな拡大はなかったが、壁の輝度が気になるとの所見であった。第16病日に発熱あり、採血にてWBC 14200/μL、CRP 1.5mg/dL、2日間発熱持続した以降37℃台の微熱が続いていた。第19病日に当院受診され、左冠動脈主幹部が3.0mm(Z score; +3.7)と小瘤を認めたため川崎病と診断した。入院後、IVIGを実施し症状は改善、発症1ヶ月時には冠動脈瘤の退縮を確認した。(症例2)1歳5ヶ月の男児。第1病日、38.3℃の発熱が出現した。第5病日に発熱が持続するため当院紹介受診となり入院した。抗菌薬加療を実施し第7病日に解熱したがその後、微熱が続き、川崎病主要症状は2-4/6症状で経過した。連日の心臓超音波検査で冠動脈病変は認めず、採血上もWBC9600/μL、CRP2.2mg/dLと軽微の炎症反応上昇のみであったため、第13病日に一度退院とした。第15病日には冠動脈病変は認めなかったが、第18病日に左冠動脈主幹部が4.0mm(Z score; +5.3)と中等瘤を認めたため、川崎病と診断した。再入院としIVIGを実施し症状は改善、発症1か月時に小瘤が残存していたが、その後退縮している。【結論】自然解熱した症例でも、川崎病を疑っているなら頻回に心臓超音波検査を実施し、冠動脈病変を認めた時点で速やかにIVIGを投与することが肝要である。