第60回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター発表

術後遠隔期・合併症・発達

ポスター発表(II-P01-4)
術後遠隔期・合併症・発達1

2024年7月12日(金) 12:40 〜 13:40 ポスター会場 (2F 多目的ホール)

座長:竹内 功(新松戸中央総合病院)

[II-P01-4-10] Fontan循環に合併した肝細胞癌以外の悪性腫瘍

荻野 佳代, 松繁 玄曉, 實川 美緒花, 増田 祥行, 林 知宏, 脇 研自, 新垣 義夫 (倉敷中央病院 小児科)

キーワード:Fontan術後症候群, Fontan循環破綻, 悪性腫瘍

【はじめに】Fontan循環に合併する悪性腫瘍としては、肝細胞癌(FALD-HCC)の頻度が高い。一方で、FALD-HCC以外の悪性腫瘍を合併した報告も散見される。Fontan術後あるいは未到達の当院の148例のうち、8例に悪性腫瘍を合併した。3例がFALD-HCC、残り5例は他の悪性腫瘍であった。FALD-HCC以外の5例につき報告する。【症例1】未治療の両大血管右室起始、右室低形成、肺動脈弁狭窄に対し52歳でFontan手術を施行。蛋白漏出性胃腸症(PLE)の精査により73歳で上行結腸癌と診断され、緩和医療を経て74歳に死亡した。【症例2】三尖弁閉鎖に対し6歳にFontan循環に到達。染色体異常(46,XX,9q+)の合併および成長ホルモン分泌不全性低身長に対する治療歴あり。上室性不整脈に対し27歳に心外導管型に変換し、その後は安定していた。34歳に心臓CT検査で偶発的に腫瘍を認め、stage I肺腺癌と診断された。喫煙歴なし。35歳に外科切除を受け現在38歳で再発なし。【症例3】無脾症、右室型単心室に対し3歳にFontan循環に到達し安定していた。30歳に心臓CT検査で腫瘍を認め、stage IV肺腺癌と診断された。喫煙習慣あり。現在34歳で分子標的治療中。【症例4】左心低形成症候群(HLHS)に対し1歳11ヵ月にFontan循環に到達。11歳にPLEを発症。24歳に甲状腺機能低下症の精査のための超音波検査で結節を認め、甲状腺乳頭癌と診断された。現在25歳でPLEの治療を優先し観察中。【症例5】HLHSに対して1歳10ヵ月にFontan循環に到達し安定していた。14歳に左頚部腫瘤を自覚し、High-grade B-cell lymphomaの診断に至った。現在19歳で化学療法終了から4年経過し問題なし。【まとめ】先天性心疾患患者において悪性腫瘍の合併頻度が高いとする報告や、医療被曝と悪性腫瘍の関連性を示した報告が存在する。Fontan循環症例の生存率の向上、高年齢化による疾患遭遇頻度の増加だけでなく、悪性腫瘍合併頻度が高い可能性を念頭に置く必要がある。