[II-P01-6-05] 新型コロナウイルスによる劇症型心筋炎後に新型コロナウイルスワクチン接種で急性心筋炎を再発した6歳女児例
キーワード:新型コロナウイルス, mRNAワクチン, 心筋炎
【背景】mRNAを使用した新型コロナウイルスワクチン(以下コロナワクチン)の副反応の一つとして心筋炎が知られている。新型コロナウイルスによる劇症型心筋炎後にコロナワクチン接種で急性心筋炎を再発した6歳女児例を経験したので報告する。【症例】フィリピン人の6歳女児。5歳時に新型コロナウイルスによる劇症型心筋炎を発症し、完全房室ブロックと心室性不整脈を繰り返し、VA-ECMOなどの集中治療管理を要し、計52日間の入院加療を行った。退院後4ヶ月で初回コロナワクチンを接種したが特に問題はなかった。退院後11ヶ月で2回目コロナワクチンを接種したところ、接種後12日目に腹痛、15日目に徐脈を認め入院となった。入院後完全房室ブロックと意識消失を認め、一時的体外式ペースメーカーを要した。各種ウイルス検査は陰性であり、コロナワクチン接種後であったことから、コロナワクチンの副反応による急性心筋炎の可能性が疑われた。入院第2病日には房室ブロックは改善し、計12日間の入院加療を行った。【考察】コロナワクチン接種後心筋炎は、接種後7日以内に発症することが多く、特に男性、思春期や若年成人期、2回目接種後がハイリスクと言われている。本症例は女児で接種後12日目での発症であったが、新型コロナウイルス罹患時または初回接種時に新型コロナウイルス抗原やコロナワクチン中のmRNAに対しての感作が成立し、2回目接種時に何らかの過剰な免疫反応を引き起こして心筋炎を生じた可能性が考えられた。コロナワクチン後心筋炎は軽症例が多く死亡率も1%未満と言われているが、本症例は高度房室ブロックを伴っており決して軽症とは言えず、再発する可能性を考慮してコロナワクチンの追加接種は見送っている。【結語】小児のコロナワクチン接種後心筋炎の発症機序や追加接種の是非については現時点で不明な点が多く、引き続きの経過観察と症例の蓄積が必要である。