第60回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター発表

集中治療・周術期管理

ポスター発表(II-P02-1)
電気生理学・不整脈1

2024年7月12日(金) 16:15 〜 17:15 ポスター会場 (2F 多目的ホール)

座長:熊本 崇(佐賀大学医学部附属病院 小児科)

[II-P02-1-02] β遮断薬・メキシレチン塩酸塩の併用療法を行っている先天性QT延長症候群(LQT2)の一家系

熊本 崇1, 土井 大人1, 松尾 宗明1, 金子 哲也2, 野出 孝一2 (1.佐賀大学医学部附属病院 小児科, 2.佐賀大学医学部附属病院 循環器内科)

キーワード:先天性QT延長症候群, メキシレチン, torsades de pointes

先天性QT延長症候群(LQTS)は,QT間隔が延長することによりTdPを引き起こし,心臓突然死を生じうる疾患群である.TdP予防のためβ遮断薬内服が推奨され,LQT3においてはメキシレチン(Mex)によるQT短縮・心イベントの予防が報告されるが,LQT2においては定かではない.今回、β遮断薬・Mex併用療法を行っているLQT2(KCNH2遺伝子ミスセンス変異)家系についてメキシレチン内服前後のQTc(Bazett)、心イベント発生について後方視的に検討した.<発端者>25歳.小学校入学時にQT延長あり,遺伝子検査でLQT2と診断されβ遮断薬を開始.20歳時に失神を繰り返し,S-ICD埋め込み術を施行.術半年後に短時間のTdP,1年半後に適切作動あり,Mexを開始.QTc563ms→516msと短縮し,以後心イベントなし.<母>56歳.32歳時に失神,35歳周術期管理中にVF既往あり,LQTSと診断.β遮断薬を導入後,39歳時にICD埋め込み術を施行.Mexを開始し,QT短縮効果があったが浮動感あり休薬.46,48歳時に適切作動あり.Mexを再開し,QTc496ms→443msと短縮,以後心イベントなし.<妹>5歳時にLQT2と診断されβ遮断薬開始.これまで失神イベントはないがQTc>500msであり,19歳よりMexを開始しQTc515ms→475msと短縮した.経過中過量内服による消化器症状のため入院イベントあり.<姉>28歳.11歳時にLQT2と診断され,β遮断薬を開始.22歳時に失神発作あり,S-ICD埋め込みを施行.埋め込み半年後意識下作動があったが以後作動なし.Mex導入を検討している.【結語】副作用に注意を払う必要があるが,LQT2においてもMexによるQTc短縮,心イベント抑制を期待できる可能性がある。