[II-P02-1-05] 先天性完全房室ブロックのVVI右室ペーシングに続発した拡張型心筋症3症例に対するペーシングモード・部位変更の有用性
キーワード:先天性完全房室ブロック, ペースメーカー, 拡張型心筋症
【背景】当院ではこれまで、先天性完全房室ブロック(CCAVB)で新生児期に恒久的ペースメーカー留置(PMI)を行う場合VVI右室ペーシングを選択してきたが、ペーシング誘発性拡張型心筋症(DCM)を複数経験した。【目的】ペーシングモード・部位の変更が心機能に与える影響について検討した。【方法】対象は2016~2023年に当院で出生したCCAVB(母体抗体陽性 3例、母体ステロイド治療 2例、早産 1例)で、VVI右室ペーシングからDDD左室ペーシングもしくはCRTに変更した3症例を対象とした。【結果】全例が高度徐脈のため日齢1までにPMI(VVIモード 3例、右室流入路リード 1例、右室流出路リード 2例)を行い、心室中隔奇異性運動、左脚ブロックパターン(QRS duration 中央値 110ms)を認めた。それぞれ1歳、生後4か月、生後1か月でDCMと診断し、乳児期発症の2例にはガンマグロブリン、プレドニゾロン投与を行った。症例1では2歳6か月(8kg)にDDD左室心尖部ペーシングに変更し、手術前後で左室拡張末期径170%Nが152%N、左室内腔短縮率24%が36%、僧帽弁逆流severeからmoderateに改善した。症例2では生後11か月時(8kg)に右室流出路・左室心尖部ペーシングリード・CRTを留置し、術後にDDD右室ペーシング、DDD左室ペーシング、CRTを比較した。DDD右室ペーシングと比較してDDD左室ペーシング、CRTではQRS duration(106ms)、心収縮は同等(EF Biplane 49%)であったため、DDD左室ペーシングを継続している。症例3は乳児期のペースメーカー再留置を予定している。【結語】VVI右室ペーシングに続発するDCMではDDD左室ペーシングへの変更で速やかに心機能が改善する可能性がある。