[II-P02-1-09] A case of low-birth-weight infant with paroxysmal supraventricular tachycardia treated with effective antiarrhythmic therapy
Keywords:発作性上室頻拍, フレカイニド, 低出生体重児
【背景】新生児期の頻脈性不整脈は心不全を来しやすく、適切な観察と治療介入が必要である。同時に抗不整脈薬の副作用や血中濃度管理には新生児期特有の注意点があり、治療選択には慎重さが求められる。【症例】在胎33週6日、1757g、帝王切開で出生した女児。一絨毛膜二羊膜双胎の第1子であり、在胎29週より本児にのみ胎児頻拍を認めた。心機能の悪化なく体重増加も良好であり胎児治療は行わずに経過観察とした。出生直後に頻拍発作は見られず、12誘導心電図ではデルタ波を認めなかった。日齢10より数秒~数分程度の頻拍発作が散見されたが7日程度で自然消失した。日齢23より頻拍発作が再燃し、アデノシン三リン酸投与で停止した。発作時心電図はHR 260~280/分、narrow QRS、RR間隔一定、long RP’頻拍であり、永続性接合部回帰頻拍または稀有型房室結節リエントリー頻拍が考えられた。頻拍発作は洞頻脈時に開始することが多く、日齢24よりランジオロールを開始したところ頻拍発作は消失した。プロプラノロールへの内服移行を試みランジオロールを漸減中止したところ再度頻拍発作が出現した。日齢41には1日あたり約10時間の頻拍発作がみられ、EF 70→55%と軽度低下、Nt-proBNP 5428pg/mlと著明な上昇を認めた。ほとんどの頻拍発作が期外収縮を契機としていたこと、修正40週、体重2500gを超えていたことを考慮しフレカイニド2mg/kg/day(=25mg/m2/day)の内服を追加した。導入翌日より頻拍発作は明らかに減少、3mg/kg/day(=45mg/m2/day)で完全に消失し、EF、Nt-proBNPの値も改善傾向となった。経過中、フレカイニド血中濃度は50~140ng/mlであったが、頻拍発作の再燃はなく、副作用も認めなかった。【結語】胎児期より継続的に観察し、適切な時期に適切な治療選択を行うことで合併症や副作用なく頻拍発作をコントロールすることができた。