The 60th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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Poster Session

術後遠隔期・合併症・発達

Poster Session(II-P02-3)

Fri. Jul 12, 2024 4:15 PM - 5:15 PM Poster venue (2F Multi-purpose Hall)

座長:長井 典子(岡崎市民病院 小児科)

[II-P02-3-01] A case of treatment-resistant pneumococcal meningitis with Fontan circulation successfully treated with oral chloramphenicol

杉山 幸輝1, 関根 麻衣2, 西村 恵理1, 岩本 洋一1, 石戸 博隆1, 増谷 聡1 (1.埼玉医科大学総合医療センター 総合周産期母子医療センター 小児循環器部門, 2.埼玉医科大学総合医療センター 小児科)

Keywords:無脾症, クロラムフェニコール, 肺炎球菌

【背景】無脾症患者は肺炎球菌をはじめとする細菌感染症に罹患しやすく、時に致死的経過をたどる。クロラムフェニコール(CP)は感染症によっては優れた抗菌作用を持つが、近年使用頻度は減少している。無脾症の治療抵抗性の髄膜炎でCPの内服が奏功し、救命できた一例を経験した。
【症例】胎児期より診断されていた無脾症・右室型単心室・DORV・TAPVCの女児。段階的修復を経て2歳2か月でTCPC施行し、経過は順調でFontan循環は良好に保たれていた。13価、23価肺炎球菌ワクチンを接種していた。3歳時、入院3日前から持続する発熱と頻回の嘔吐、痙攣のため前医に搬送、気管挿管され当院へ転院となった。髄液の細胞数267/μL、蛋白639mg/dL、糖3mg/dLで細菌性髄膜炎と診断した。髄液培養から多剤耐性肺炎球菌(15A型、ワクチン非含有血清型)が検出された。重症感染症による敗血症性ショックとDICをきたしており、全身管理とバンコマイシン・メロぺネムを開始した。腎機能障害が進行し、5日間のCHDFを行った。中途より感染管理に難渋するようになり、入院10日(CRP 18 mg/dL)にCP内服を入手・開始でき、著効を示した。入院17日(CRP 1.9 mg/dL)にCP静注に変更した。神経学的後遺症を残したが、CPが著効し救命につながった。無顆粒球症・Gray syndromeなどのCP投与に伴う合併症は認めなかった。
【結論】Fontan術後、無脾症患者の侵襲性肺炎球菌感染症に対し、CPによる治療が奏功し救命できた。近年CPの使用頻度の減少に伴い院内外に在庫がなく、大型連休で入手にさらに難渋し、内服CPで治療を開始したが、著効した。CPは内服でもbioavailabilityが高いとされ、本患者でも著効した。無脾症患者の多剤耐性侵襲生肺炎球菌感染症に対してCPは治療の一手となり得る。