[II-P02-3-02] Two cases of giant thrombosis in the remote postoperative period after APC Fontan surgery.
Keywords:APC Fontan, 心房内血栓, TCPC conversion
【背景】機能的単心室症に対するFontan手術は、現在はTCPC法が主流となっているが、従来のAPC Fontan術後の状態で管理されている症例もみられる。今回、APC Fontan術後遠隔期に巨大血栓症をきたした2例を経験したため報告する。【症例】症例1:16歳男性。生後3か月から体重増加不良、チアノーゼを認め、三尖弁閉鎖症(1b)と診断された。2歳時にAPC Fontan術を施行された。術後14年が経過した16歳時に、呼吸困難、低酸素血症で救急搬送となった際に、胸部造影CTにて右房内の5cm大の巨大血栓および肺動脈塞栓を認めた。また心房頻拍も併発していた。巨大血栓に対して血栓除去術とTCPC conversion、isthmus ablationを行い、再発なく経過している。症例2:37歳男性。生後5日に心雑音を指摘され、単心房、単心室、無脾症、右胸心と診断された。7歳時にAPC Fontan術を施行された。術後13年から上室性頻脈を認め、抗凝固薬の内服を行っていた。術後25年が経過した37歳時に意識消失、呼吸困難のため救急搬送となった際に、胸部造影CTにて肺動脈塞栓を認めた。ヘパリン投与のみで血栓は消失した。今後TCPC conversionを施行予定である。【考察】APC Fontan術後の遠隔期合併症として右房拡大が生じ、その結果、血流うっ滞による心房内血栓や頻脈性上室性不整脈が発症する。APC Fontan術後や上室性不整脈は血栓塞栓症の危険因子であり、内科的治療のみでは改善されない場合もあり、時に致死的となりうる。そのため、不整脈等の合併症を伴うAPC Fontan術後の患者は、早期のTCPC conversion施行が考慮されるべきであるが、その一方で合併症を伴っていない症例に対する予防的な手術については意見が分かれる。【結論】APC Fontan術後遠隔期には致命的となりうる合併症が生じるため、適切なタイミングでTCPC conversionを考慮する必要がある。