[II-P02-3-09] A case of a boy with transposition of the great arteries at 3 months and developed West syndrome after aortic switch surgery
Keywords:完全大血管転位症, チアノーゼ, 発達
【背景】完全大血管症(TGA)は新生児期心内修復術(ICR)でチアノーゼが改善するが術後学習障害や高次機能障害を合併する頻度が多いことが報告されており、胎児期の血行動態の影響などが示唆されている。一方、乳児期ICR後の神経学的後遺症の報告は少ない。生後3か月でチアノーゼを契機にTGAと診断され大血管スイッチ術(ASO)後にWest症候群を発症した男児例を報告する。【経過】産院で満期、仮死なく出生。生後3か月の予防接種時にチアノーゼを指摘。当院受診時SpO2 67%と著明なチアノーゼを認め、TGA II型と診断。心室中隔欠損孔(VSD)は11mmと大きく、カテーテル検査で両心室は等圧、動脈管は閉鎖、心房交通は小さく、シャント量は少量であった。経皮的心房中隔裂開術で小さな裂開を作成し、SpO2は70%から80%に改善。入院10日目(月齢3か月、5.8kg)にASO, VSD閉鎖、開窓心房中隔閉鎖術施行。術後経過は良好で、術後1か月のカテーテル検査で左室圧78/2mmHg、右室圧15/3mmHg、平均肺動脈圧9mmHgと肺高血圧は改善。退院前の頭部MRIでびまん性脳萎縮、脳梁部・内包後脚・大脳脚に異常信号を認めたが、この時点では明らかな痙性など神経学的異常は認めなかった。退院後は頚定も獲得したが術後3か月(生後6か月)頃より、シリーズ形成する上下肢を挙上して不安そうな表情になる発作を認めた。脳波はヒプスアリスミアで、ビデオ脳波で緊張性けいれんを確認し、West症候群と診断。抗てんかん薬で発作は消失せず、ACTH療法で発作は消失。ACTH療法の心合併症は認めなかった。現在3歳で遠城寺式発達テストの平均発達指数は50程度で1歳6か月相当の発達遅滞を認めるが、保育園と療育に参加中。【結語】生後から乳児期早期までの著明な低酸素血症を認める症例は循環破綻(虚血)無くICR到達後も低酸素性脳症やWest症候群を発症する可能性があり、術後も慎重な発達フォローを要する。