The 60th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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Poster Session

術後遠隔期・合併症・発達

Poster Session(II-P02-3)

Fri. Jul 12, 2024 4:15 PM - 5:15 PM Poster venue (2F Multi-purpose Hall)

座長:長井 典子(岡崎市民病院 小児科)

[II-P02-3-08] A case of a boy who died from myocardial ischemia due to coronary artery thickening, 2 months after Jatene surgery

今岡 のり1, 浅田 聡2,3, 玉井 夢果2, 西 孝輔1, 丸谷 怜1, 小田 晋一郎3, 稲村 昇1 (1.近畿大学 医学部 小児科学教室, 2.近畿大学 医学部 心臓血管外科学教室, 3.京都府立医科大学 小児心臓血管外科)

Keywords:冠動脈肥厚, 完全大血管転位, ASO術後

【背景】大血管転位(TGA)に対するJatene術後の冠動脈狭窄は術後の約5-8%にみられ、術後早期の死亡原因にもなる。【症例】生後2か月の男児。胎児診断症例で、在胎39週6日、出生体重3590gで出生。TGA(I)と最終診断しLipo-PgE1を開始。日齢4に心臓カテール検査、BAS施行。冠動脈はshaherIで走行異常なし。日齢9にJatene手術施行。術後経過に問題なく、心電図、心エコー、造影CTで再建冠動脈含め異常は認めず、術後33日に退院。術後2か月の心電図でV2-6のST低下と心エコーでMR(mild)と前壁中隔の壁運動低下を認めた。早期の心臓カテーテル検査を計画したが翌日にショック状態となり、蘇生への反応も悪く、V-AECMO管理とした。左室機能低下が強く、大動脈切開の上、冠動脈入口部と近位部を確認するも狭窄はなかった。LVAD/ECMO管理の上、劇症型心筋炎も考慮しステロイドパルス療法とIVIGも施行した。LVADは離脱できたが感染と多臓器不全の進行を認め、LVAD/ECMO開始から41日目に死亡した。AICTで心筋に全周性に高輝度領域を認め石灰化と考えた。病理組織所見で炎症細胞浸潤は認めず、虚血性変化と左右冠動脈に内膜と中膜の高度肥厚がみられた。【考察】本症例は診断に苦慮したが、肥厚した冠動脈に血栓形成もしくは冠攣縮を来し、広範囲な心筋虚血に至ったと考える。冠動脈肥厚の原因は不明だが、冠動脈走行に異常のないTGA2症例で術後に突然死し、病理検査で内膜の肥厚を認めた報告もあり、新生児期に人工心肺下のASO手術による全身の炎症反応と、冠動脈への手術侵襲の初期反応として内膜が増殖する可能性を指摘している。TGA術後の原因不明の突然死症例の中には、本症例と同様の原因である可能性もあり、新生児期のASO手術においては未解決な合併症の一つであると考えられる。