[II-P02-3-07] Pulmonary hemorrhage due to residual aortopulmonary collateral arteries long after arterial switch operation of transposition of the great artery
Keywords:完全大血管転位, 遠隔期, 肺出血
【背景】 二心室修復(BVR)へ到達可能なチアノーゼ性心疾患でもAPCAは発生し、新生児期の周術期にAPCAによる心不全や肺出血をきたした報告は散見される。しかしながら遠隔期に残存するAPCAについてはほとんど報告がない。今回、遠隔期に残存するAPCAにより肺出血を認め、塞栓術を要したarterial switch operation(ASO)後の完全大血管転位症(TGA)2症例を経験したので報告する。【症例】 症例1 13歳男児. TGA1型 日齢8にASOを実施された。3歳時の心臓カテーテル検査で大動脈縮窄(CoA), 大動脈弁上狭窄(supra AS)、両側肺動脈狭窄(bil PS)を認めた。5歳時に大動脈拡大術、主肺動脈拡大術を施行。10歳時の心臓カテーテル検査ではCoA、bil PSとも軽度であり経過観察となった。13歳時に喀血を認め精査加療入院。入院後も喀血が持続し、心臓カテーテル検査でminor APCAを認め、コイル塞栓術を行った。以後喀血症状は認めていない。症例2 31歳男性. TGA1型. 日齢16にASOを実施された。術後2年目の心臓カテーテル検査でsupra ASと左PSがあり3歳4ヶ月時に上行大動脈拡大術、左肺動脈拡大術を実施。5歳時に左PSに対してGore Tex patchによる拡大術、19歳時に上行大動脈置換術(Hemashild graft), 肺動脈形成術、右室流出路再建術を実施。大学進学に伴い転医したのちdrop outしていた。31歳時に当院受診。心臓カテーテル検査で高度の右室流出路狭窄(右室-主肺動脈圧差90mmHg)を認め、右室流出路再建術、肺動脈形成術を施行。術後5ヶ月時に呼吸障害で救急受診し左血胸と診断。ドレナージ管理を行った。血管造影で左内胸動脈を中心に多数のAPCAを認めたため、コイル塞栓術を実施した。【考察】チアノーゼ性心疾患ではBVRに到達した症例でも、再開胸術を要したり遺残病変がある例ではAPCAの遺残・増生を認め、APCAの破綻による肺出血症状をきたしうる。