[II-P02-3-06] A case of infective endocarditis in a postoperative Fontan patient with thrombo-occlusive obstruction of conduit
Keywords:Fontan術後遠隔期, 感染性心内膜炎, 血栓症
【背景】小児における感染性心内膜炎において、先天性心疾患を有するのは、全体の30~80%と言われている。一般的に、人工血管や人工弁を用いた手術後が高リスクといわれているが、Fontan手術後の感染性心内膜炎の患者の報告は極めて少ない。今回、Fontan術後遠隔期の菌血症および血栓による人工導管閉塞を来し、長期抗菌薬治療およびFontan再手術を行った症例を経験したので報告する。【症例】14歳男児、共通房室弁、心室中隔欠損症に対し2013年にFontan手術を施行された。転居に伴い当院でのフォローとなり、ワーファリンによる抗血栓療法が行われていたが、自閉症スペクトラム障害を背景に持ち服薬コンプライアンスは良くなかった。術後10年後の2023年11月、定期外来時に熱源不明の発熱あり、血液培養2セットからグラム陽性球菌を検出し、感染性心内膜炎に準じた治療としてバンコマイシン+メロペネムでの治療を開始した。経胸壁心臓超音波検査では各弁に明らかな疣贅付着はないが、Fontanの人工導管と下大静脈の吻合部に巨大な血栓を認めた。造影CTでも同様の血栓所見と、下大静脈からの複数の側副血行路が確認された。血液培養はメチシリン耐性黄色ブドウ球菌であり、バイオフィルムへの移行性を考慮しダプトマイシンに変更、8週間の抗菌薬投与の後、2024年2月Fontan再手術を施行した。人工導管の取り換えと、側副血行路の結紮を行い、術後経過は良好で、現在退院にむけて調整を行っている。【考察】先天性心疾患を有する小児における感染心内膜炎の中で、Fontan術後患者の感染は極めて稀であるが、今回のように血栓を合併し発症に至った症例を経験した。術中所見では肺脈側の導管の狭窄を認めており、導管血流の停滞および内服コンプライアンス不良により血栓を形成、感染巣となったと考えられた。