第60回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター発表

多領域

ポスター発表(II-P02-5)
多領域1

2024年7月12日(金) 16:15 〜 17:05 ポスター会場 (2F 多目的ホール)

座長:宗村 弥生(山梨県立大学看護学部)

[II-P02-5-08] 小児ECMO治療中のTEG6sによる抗凝固療法の治療介入経験

庭野 陽樹, 浅井 英嗣, 夷岡 徳彦 (北海道立子ども総合医療・療育センター)

キーワード:ECMO, TEG6s, 脳出血

【背景】循環呼吸不全患者に対するECMO補助は最終治療手段であるが、一旦ECMO装着した患者群の予後は不良である。予後不良因子の一因として出血性合併症があるが小児においてはヘパリン投与全体量が少なく抗凝固コントロールに難渋する事がしばしばある。Thrombelastograph6s(TEG6s: Haemonetics Corp, Boston, USA)はより正確な抗凝固コントロールが可能と考え、当院では2021年11月より使用してきた。【目的】当院におけるECMO装着患者の死亡予後規定因子とTEG6sの有用性を検討した。【対象・方法】2015年10月から2023年12月の間に小児患者に対してECMO補助を行った症例33例を対象とし、後方視的に比較検討を行った。【結果】患者群の年齢は新生児、乳児、幼児に分けると各々12人(36%)、15人(45%)、6人(18%)であった。体重の中央値は3.7kg(1.6-20kg)であった。生存群は15例、死亡群は18例であった。死亡予後不良因子を検討するために、ECMO前の心肺蘇生の有無、RACHS-1を用いた手術リスク、脳出血の有無、ECMO中の抗凝固療法の際にTEG6sを使用したかどうかを項目として比較した。死亡予後規定因子は脳出血のみで生存群で0例(0%)、死亡群で11例(61%)と有意差を認めた。そのため、脳出血を認めた群11例と、認めなかった群22例で脳出血の規定因子について比較検討を行った。同様の項目で比較検討を行ったところ、TEG6sを使用した群で有意に脳出血が少なかった。【考察・結語】我々の検討ではECMO装着患者の予後規定因子としては脳出血が挙げられた。一方でTEG6s使用することは脳出血を予防できることが示唆されその有用性が示された。文献的考察を加え報告する。