[II-P02-6-02] 急性心筋炎におけるMRI T2値異常検出期間と病初期トロポニンT値の関連
キーワード:急性心筋炎, 造影心臓MRI, トロポニンT
【背景】Lake Louise criteria (2018)ではT1/T2両方の異常が急性心筋炎の診断基準としているが、心筋浮腫を反映するT2値は時間経過とともに正常化するため、早期のMRIが求められる。しかし、T2値が正常化するまでの時間について不明な点が多い。【方法】2018年1月から2023年12月までに当院で急性心筋炎が疑われた19例を対照とした。MRIは13例で施行していたが、2例は発症から4か月以上経過していたため除外し、11例で検討を行った。【結果】年齢 6 (0-9) 歳で新生児が2例で、エンテロウイルスが2例、Covid-19が1例、インフルエンザA型が1例であった。ECMOは2例で施行し、不整脈合併は5例であった。発症からMRIまでの期間は21 ± 17日、LGE陽性 3例、STIR陽性 9例でNative T1値 1386 (1309-1494) ms, T2値 63.4 (55.8-67.7) ms, ECV 40.1 (34.2-46.5) %であった。T2値と発症からMRIまでの期間はR2 = -0.47, p = 0.15と弱い負の相関を認めた。心筋障害の重症度も影響することが考えられ、発症時のトロポニンT、BNP、発症からMRIまでの期間とT2値について重回帰分析を施行したところ、発症からMRIまでの期間は標準β = -0.73, p = 0.01トロポニンTは標準β = 0.79, p = 0.05であった。また除外した2例はトロポニンTが著明に高値だったが、発症からMRIまでの期間が4か月以上経過しており、LGE陽性であったがT2は正常化していた。【考察】急性心筋炎におけるT2値は発症からMRIまでの期間とトロポニンTが関連していることが示唆された。この結果からトロポニンTが比較的低値である場合は短期間でT2値が正常化することが考えられる。一方でトロポニンTが高値であれば、比較的長期間T2高値が維持されると考えられる。【結論】 急性心筋炎の画像診断では時間経過とともにT2値が正常化するため早期のMRIが必要であるが、トロポニンTが高値である症例ではT2値の正常化に時間がかかるため比較的時間的な猶予があると考えられる。