[II-P02-6-04] 感染性心内膜炎の病態評価における心臓MRI検査の有用性
キーワード:感染性心内膜炎, normmal heart, 心臓MRI検査
【背景】心臓MRI検査は急性心筋炎の診断に有用であるが、感染性心内膜炎(IE)の診断に用いられることは少なく、その有用性についてはよくわかっていない。我々は正常の心内構造で、IEを発症した患児に対して心臓MRI検査を行い、その有用性について検討した。【症例】14歳女性、生来健康でX月Y日にインフルエンザに罹患した。内服治療で改善したものの、Y+5日から体調不良を訴え、翌日には40度の発熱を認めた。足の関節痛も出現し、Y+10日に前医を受診した。白血球数 13000/μL、CRP 18mg/dLと炎症反応高値で、足底に紫斑を認め、心エコーでIEが疑われ当院に転院した。心エコーでは、僧帽弁前尖に6.1mmの疣贅と、1.8mmの穿孔を認め、中等度の僧帽弁逆流が生じていた。大動脈弁下にも14.8mmの疣贅を認めた。前医で採取された血液培養からはメチシリン感受性黄色ブドウ球菌が検出された。全身状態が良好で、血行動態の破綻もなかったため抗菌薬の投与を開始し、速やかに解熱した。Y+17日目に心臓MRI検査を施行した。僧帽弁前尖の穿孔および同部位からの逆流所見を認めた。また、T1 mappingで左室中隔のNative T1高値を認め、心筋の炎症所見と考えた。4D flow MRIでは、僧帽弁前尖部分のvortex flowの乱れを認めていた。疣贅はY+20日には消失し、再燃なく経過した。抗菌薬は計6週間使用した。Y+38日に2回目の心臓MRI検査を施行した。T1 mappingではNative T1はほぼ正常化しており、炎症の沈静化を反映していると考えた。僧帽弁前尖の穿孔による中等度の逆流所見は残存したため、1か月後に僧帽弁パッチ閉鎖術を施行した。術後もIEの再燃なく、現在外来経過観察中である。【考察・結論】心臓MRI検査を施行することで、心筋の炎症および血流変化を同定することが可能であった。特に血流の変化を可視化することは、疣贅の存在を考える際に重要な可能性がある。