The 60th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Poster Session

川崎病・冠動脈・血管

Poster Session(II-P03-2)

Fri. Jul 12, 2024 5:20 PM - 6:20 PM Poster venue (2F Multi-purpose Hall)

座長:櫨木 大祐(鹿児島市立病院 小児科)

[II-P03-2-02] A case of acute necrotizing encephalopathy developed in the distant period after Fontan procedure

黒田 薫1,2, 田邊 雄大1, 小野 頼母1, 其田 健司1, 小泉 沢1, 八木 耕平2, 大軒 健彦2, 川合 英一郎2, 新田 恩2, 木村 正人2, 小澤 晃2 (1.宮城県立こども病院 集中治療科, 2.宮城県立こども病院 循環器科)

Keywords:Fontan術後, 急性壊死性脳症, 集中治療

【背景】複雑心奇形の治療成績が向上し、Fontan術後患者が年々増加している。そして、Fontan術後患者が感染症などの急性疾患を罹患し、入院加療を必要とすることも増えている。今回、Fontan術後の単心室患者が予後不良な急性壊死性脳症(ANE)を発症したものの、後遺症なく生存退院した1例を経験した。【症例】11歳男児。左心系単心室の診断で1歳時にFontan手術(Fenestrationなし、18mm導管)を施行した。術後のCVPは10mmHg程度で推移し、術後経過は良好だった。発症当日の朝から発熱があり、就寝時につじつまの合わない言動が増え、当院に救急搬送された。当院搬送時はJCS1桁の意識障害があり、インフルエンザ迅速検査が陽性であり、採血では軽度の肝・腎機能異常や凝固異常があり高サイトカイン状態が示唆された。急性脳症を疑いPICUに入室し、ステロイドパルスを含む治療を開始した。翌日に全身強直性の間代性痙攣があり、頭部MRI検査を施行すると左右対称性の視床病変を認め、ANEと診断した。TCPC術後でありCVPの上昇は頭蓋内圧上昇のリスクとなり得るため、可能な限り人工呼吸器による陽圧換気を避け、さらにCVPをモニタリングしながら管理を行った。また、単心室循環による血圧の不安定性を懸念し、脳灌流圧の維持のため、ノルアドレナリンを投与しながら血圧管理を行った。血漿交換とステロイドパルスを施行し、意識レベルは改善傾向を示し第7病日に一般病棟へ転出、利尿剤を内服で追加し、血栓予防内服はワーファリンのみとした。第19病日に神経学的後遺症なく退院した。【結語】Fontan術後患者に発症したANEの後遺症なき救命例を経験した。Fontan循環に発症する重症急性疾患では、原因疾患治療だけではなく、その特殊な循環に結びつけて肺循環・体循環を維持する必要があり、各臓器のスペシャリストと小児循環器科医・循環器集中治療医の協力が欠かせないと考えられた。