The 60th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Poster Session

川崎病・冠動脈・血管

Poster Session(II-P03-2)

Fri. Jul 12, 2024 5:20 PM - 6:20 PM Poster venue (2F Multi-purpose Hall)

座長:櫨木 大祐(鹿児島市立病院 小児科)

[II-P03-2-03] A Case of VSD infant with distributive shock leading to cardiac arrest during induction of general anesthesia

岩崎 秀紀, 橋 美香, 水冨 慎一朗, 久保 達哉, 中村 太地, 井美 暢子, 太田 邦雄 (金沢大学 医薬保健研究域医学系 小児科)

Keywords:血流異常分布性ショック, 全身麻酔, アナフィラキシー

【背景】全身麻酔中の血圧低下は,筋弛緩薬・抗生物質,ラテックスのアナフィラキシーをまず疑うが,原因検索が困難なこともある.麻酔導入時に血流異常分布性ショック・心停止に至るも原因検索に難渋する心室中隔欠損の乳児例を経験した.【症例】月齢5,男児.口唇口蓋裂および膜様部心室中隔欠損症,中等度難聴と診断した.徐々にシャント血流は減少したが,僧帽弁逆流と左房拡大を認めていた.月齢5に全身麻酔下口唇形成術を予定した.アトロピン,チオペンタール,ロクロニウム,セボフルラン,レミフェンタニル,セファゾリンを用いて麻酔導入した.気管攣縮を疑わせるエピソードがあり,麻酔導入後30分で心電図ST変化を伴う血圧低下・徐脈を認めた.皮膚所見は認めなかった.胸骨圧迫・アドレナリン投与で血圧改善したが,その後もアドレナリン投与を要する血圧低下を複数回認め,中には除細動を要する心室細動も認めた.経過からロクロニウムのアナフィラキシーショックと判断し手術は中止とした.後日施行した静注薬プリックテストは陰性,ロクロニウムに対する好塩基球活性化試験は弱陽性であった.月齢7,前回使用薬剤を用いずにプロポフォール,リドカイン,セボフルラン・笑気で麻酔導入したが,前回よりも劇烈な血流異常分布性ショックを呈し,再度手術は中止した.心臓カテーテル検査も施行したが軽度左房圧上昇のみで,冠動脈異常も認めなかった.安全を優先し,手術は行わず経過観察している.【考察】周術期アナフィラキシーの原因は静注薬が多く,原因検索が行われる.本症例では被疑薬を使用せずとも再発し,ヒスタミン・トリプターゼの有意な上昇を伴わず,アナフィラキシー以外の病態も念頭に置いている.典型的皮膚所見を伴わない乳幼児の血流異常分布性ショックは,小児病院以外の施設でおいては麻酔科医だけでは対応できないこともあり,小児循環器医が迅速に病態を認識し対応する必要がある.