The 60th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Poster Session

川崎病・冠動脈・血管

Poster Session(II-P03-2)

Fri. Jul 12, 2024 5:20 PM - 6:20 PM Poster venue (2F Multi-purpose Hall)

座長:櫨木 大祐(鹿児島市立病院 小児科)

[II-P03-2-07] Correlation between restrictive ASD and postoperative management of primary Norwood Operation for Hypoplastic Left Heart Syndrome (HLHS)

田代 直子1, 佐川 浩一1, 白水 優光1, 倉岡 彩子1, 山村 健一郎1, 石川 友一1, 中野 俊秀2 (1.福岡市立こども病院 循環器科, 2.福岡市立こども病院 心臓血管外科)

Keywords:一期的Norwood手術, 左心低形成症候群, 心房間交通

【背景】心房間交通(ASD)は左心低形成症候群(HLHS)における肺・体血流のバランスや肺うっ血の有無を決定する重要な因子であり、Norwood手術における術後管理や予後にも影響しうる。
【方法】2016~2024年にRV-PA conduitによる一期的Norwood手術を施行したHLHS(類縁疾患は除く、全て僧帽弁閉鎖・大動脈弁閉鎖症例)12例を対象とした。術後管理や予後に関して、術前のASDでの流速が1.5m/s以上であった群と1.5m/s未満であった群とで2群間比較を行った。
【結果】対象12例(男5例)において、中央値は出生週数39.8週(37.4―41.6)、出生時体重2923g(2236―3560)、手術時日齢7.0(3.0―12)であった。術前の三尖弁輪径や逆流、ASD径、窒素療法、挿管日数に有意差はなかった。12例中1例で術前に心房中隔裂開術(BAS)を施行した。術中は全例でASD creationを施行し、conduit径に有意差はなかった。ASDの流速1.5m/s以上の群では、1.5m/s未満の群と比較し術後一酸化窒素の使用期間(1.0日vs. 3.5日、P=0.12)・窒素の使用期間(0.0日vs. 0.0日、P=0.30)・カテコラミンの使用期間(15.5日vs. 17.0日、P=0.734)、肺出血の有無(P=1.00)・気胸の有無(P=1.00)・乳糜胸の有無(P=1.00)、胸腔ドレーンの留置期間(11.5日vs. 12.0日、P=0.732)に有意差はなかった。退院までの期間(138日vs. 66日、P=0.062)やGlenn手術までの期間(7.1か月vs. 7.7か月、P=0.27)、生存(P=0.49)に有意差はなかった。
【考察】今回の研究ではHLHSの術前のASDでの流速と術後管理や予後との明らかな関連はなかった。術後早期死亡例も含まれること、Glenn手術までの比較的短期間で予後を比較したこと、症例数による制約があること等の影響が考えられる。また全例で生後早期にASD creationがなされており、その時期の適切さを反映している可能性もある。今後は症例数を増やし、術後管理との関連や長期予後を再検討する必要がある。