[II-P03-2-07] 左心低形成症候群(HLHS)の一期的Norwood手術において術前の狭小心房間交通は術後管理に影響するか
キーワード:一期的Norwood手術, 左心低形成症候群, 心房間交通
【背景】心房間交通(ASD)は左心低形成症候群(HLHS)における肺・体血流のバランスや肺うっ血の有無を決定する重要な因子であり、Norwood手術における術後管理や予後にも影響しうる。
【方法】2016~2024年にRV-PA conduitによる一期的Norwood手術を施行したHLHS(類縁疾患は除く、全て僧帽弁閉鎖・大動脈弁閉鎖症例)12例を対象とした。術後管理や予後に関して、術前のASDでの流速が1.5m/s以上であった群と1.5m/s未満であった群とで2群間比較を行った。
【結果】対象12例(男5例)において、中央値は出生週数39.8週(37.4―41.6)、出生時体重2923g(2236―3560)、手術時日齢7.0(3.0―12)であった。術前の三尖弁輪径や逆流、ASD径、窒素療法、挿管日数に有意差はなかった。12例中1例で術前に心房中隔裂開術(BAS)を施行した。術中は全例でASD creationを施行し、conduit径に有意差はなかった。ASDの流速1.5m/s以上の群では、1.5m/s未満の群と比較し術後一酸化窒素の使用期間(1.0日vs. 3.5日、P=0.12)・窒素の使用期間(0.0日vs. 0.0日、P=0.30)・カテコラミンの使用期間(15.5日vs. 17.0日、P=0.734)、肺出血の有無(P=1.00)・気胸の有無(P=1.00)・乳糜胸の有無(P=1.00)、胸腔ドレーンの留置期間(11.5日vs. 12.0日、P=0.732)に有意差はなかった。退院までの期間(138日vs. 66日、P=0.062)やGlenn手術までの期間(7.1か月vs. 7.7か月、P=0.27)、生存(P=0.49)に有意差はなかった。
【考察】今回の研究ではHLHSの術前のASDでの流速と術後管理や予後との明らかな関連はなかった。術後早期死亡例も含まれること、Glenn手術までの比較的短期間で予後を比較したこと、症例数による制約があること等の影響が考えられる。また全例で生後早期にASD creationがなされており、その時期の適切さを反映している可能性もある。今後は症例数を増やし、術後管理との関連や長期予後を再検討する必要がある。
【方法】2016~2024年にRV-PA conduitによる一期的Norwood手術を施行したHLHS(類縁疾患は除く、全て僧帽弁閉鎖・大動脈弁閉鎖症例)12例を対象とした。術後管理や予後に関して、術前のASDでの流速が1.5m/s以上であった群と1.5m/s未満であった群とで2群間比較を行った。
【結果】対象12例(男5例)において、中央値は出生週数39.8週(37.4―41.6)、出生時体重2923g(2236―3560)、手術時日齢7.0(3.0―12)であった。術前の三尖弁輪径や逆流、ASD径、窒素療法、挿管日数に有意差はなかった。12例中1例で術前に心房中隔裂開術(BAS)を施行した。術中は全例でASD creationを施行し、conduit径に有意差はなかった。ASDの流速1.5m/s以上の群では、1.5m/s未満の群と比較し術後一酸化窒素の使用期間(1.0日vs. 3.5日、P=0.12)・窒素の使用期間(0.0日vs. 0.0日、P=0.30)・カテコラミンの使用期間(15.5日vs. 17.0日、P=0.734)、肺出血の有無(P=1.00)・気胸の有無(P=1.00)・乳糜胸の有無(P=1.00)、胸腔ドレーンの留置期間(11.5日vs. 12.0日、P=0.732)に有意差はなかった。退院までの期間(138日vs. 66日、P=0.062)やGlenn手術までの期間(7.1か月vs. 7.7か月、P=0.27)、生存(P=0.49)に有意差はなかった。
【考察】今回の研究ではHLHSの術前のASDでの流速と術後管理や予後との明らかな関連はなかった。術後早期死亡例も含まれること、Glenn手術までの比較的短期間で予後を比較したこと、症例数による制約があること等の影響が考えられる。また全例で生後早期にASD creationがなされており、その時期の適切さを反映している可能性もある。今後は症例数を増やし、術後管理との関連や長期予後を再検討する必要がある。