The 60th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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Poster Session

複雑心奇形(外科)

Poster Session(II-P03-4)

Fri. Jul 12, 2024 5:20 PM - 6:20 PM Poster venue (2F Multi-purpose Hall)

座長:岩田 祐輔(岐阜県総合医療センター 小児心臓外科)

[II-P03-4-05] A case of reverse Blalock-Taussig shunt performed on a patient with hypoplastic left heart syndrome with retrograde CoA.

八木 耕平1, 大軒 健彦1, 黒田 薫1, 川合 英一郎1, 新田 恩1, 木村 正人1, 正木 直樹2, 帶刀 英樹2, 崔 禎浩2, 小泉 沢3, 小澤 晃1 (1.宮城県立こども病院 循環器科, 2.宮城県立こども病院 心臓血管外科, 3.宮城県立こども病院 集中治療科)

Keywords:左心低形成症候群, retrograde CoA, reverse Blalock-Taussig shunt

【導入】大動脈弁閉鎖(AA)を伴う左心低形成症候群(HLHS)において、retrograde CoAは大動脈弓の逆行性血流を損ない、冠動脈の還流が不足する場合がある。Reverse Blalock-Taussig shunt(以下 reverse BT shunt)は主肺動脈から腕頭動脈へ繋がるshuntであり、retrograde CoAによる大動脈弓血流の減少を緩和する可能性がある。今回、HLHS(AA, 僧帽弁閉鎖(MA))の心不全患者に対してreverse BT shuntを施行した1例を経験したため、報告する。【症例】症例は在胎36週, 1891gで出生した男児。母体高血圧、growth arrestのため緊急帝王切開で出生。出生後、HLHS (AA, MA), 三尖弁逆流(TR)の診断となり、日齢2に両側肺動脈絞扼術(bil. PA banding)を施行。日齢6にre-PA bandingを行い、日齢10に抜管した。日齢24にTRの増悪による循環不全が急激に増悪、日齢26のエコーでretrograde CoAが狭小化しており、Lipo-PGE1を増量し改善した。日齢31 re-bil. PA banding, 三尖弁形成術(TVP)を施行し、一旦はTRの改善を認めたが再増悪した。TRおよびretrograde CoAによる冠血流不足によると思われる高度の心不全を認めたが、Norwood手術やTVPの耐術は困難と判断、冠血流および心機能の改善を期待して、日齢118 reverse BT shuntを施行した。術後の回復は比較的良好であり、緩やかに心機能も改善した。ジゴキシンの導入を行い、耐術可能な範囲まで心機能は改善したと判断、日齢164 Norwood, RV-PA conduit, TVPを施行した。術後肺動脈への血流が安定せず、心不全、多臓器不全が進行し日齢240に永眠された。【結語】本症例ではretrograde CoAによる冠血流減少が心不全の一因と考えられたが、Norwood手術への耐術が困難と判断し、reverse BT shuntを施行した。術後は緩徐ではあるものの心機能の改善を認めた。Retrograde CoAによる冠血流不足により心不全をきたしている場合、reverse BT shuntが姑息的手段の一つとなりうると考えられた。