[II-P03-4-07] 心外型総肺静脈還流異常症を伴う無脾症候群における術後肺静脈閉塞の検討
キーワード:Total anomalous pulmonary venous return, Pulmonary venous obstruction, Asplenia syndrome
【背景・目的】心外型総肺静脈還流異常症(心外型TAPVC)を伴う無脾症候群・機能的単心室症に対する手術成績は依然満足できるものではない.多角的な視点から術後肺静脈閉塞(PVO)の危険因子を検討する. 【方法】2000-2023年に当院で手術を要した無脾症候群・機能的単心室症25例のうち,心外型TAPVCを合併し,急性期を乗り越えた14例を対象とし,術後PVOの有無で2群にわけて後方視的に検討した.(1)下心臓型または混合型TAPVC,(2)不十分な共通肺静脈腔,(3)術前CT(-),(4)conventional repairを術後PVOの複合的な危険因子と仮定した. 【結果】術後PVO(+)群 vs 術後PVO(-)群:4例 vs 10例.TAPVC修復時の年齢・体重はPVO(+)群 vs PVO(-)群:日齢21・3.2kg vs 日齢81・5.5kg.術前PVOを認めたのはPVO(+)群 vs PVO(-)群:50% vs 40%.初回TAPVC修復の術式は,PVO(+)群は100% conventional repair,PVO(-)群のうち40%でprimary suturelessを行った.全観察期間は中央値36[4-255]ヵ月.PVO(+)群は全例でPVO解除術を施行.TAPVC修復からPVO解除術までの期間は中央値9.6[2.5-12.1]ヵ月.吻合部狭窄が原因であった1例でPVO解除成功,PV入口部および末梢PVの狭窄が原因であった他3例ではPVO解除後もPVOが再燃した.(1)下心臓型または混合型TAPVCはPVO(+)群 vs PVO(-)群:80% vs 20%,(2)不十分な共通肺静脈腔を認めたのは75% vs 10%,(3)術前CT(-)は50% vs 20%,(4)conventional repairは100% vs 50%であった.(1)~(4)のうち3項目以上を満たしたのは,100% vs 0%(p=0.001)であった.【考察・結論】下心臓型または混合型TAPVC,不十分な共通肺静脈腔,緊急度が高く術前CTを撮影できない,conventional repairといった要素は複合的に術後PVOに関連する可能性があると考えらえた.