[II-P03-5-01] 心臓病児の医療と福祉の課題~会員生活実態アンケートの結果から
キーワード:教育, 社会保障, 新型コロナウイルス感染症
【背景】全国心臓病の子どもを守る会は小児期に発症した心疾患を中心とした患者・家族の会で、1963年の設立当初から心臓病児者と家族の医療と福祉の向上を目指して活動を続けている。2018年に全会員を対象に実施した「生活実態アンケート」によれば、幼少期から学齢期、成人期といった、年代ごとによる医療・教育・保育・生活・就労などの課題が明らかになった。その後、新型コロナウイルス感染症の感染拡大、社会制度の変化があった。【目的】コロナ禍、社会制度の変化がどのような影響をおよぼしているのか、それに対して現行の社会保障制度は患者・家族の生活を守るために十分に機能しているのか、2018年の調査と比較をしながら検証し、現状における課題を明らかにする。【方法】全ての会員(約3300世帯)を対象にアンケートを実施した。調査では、患者の治療状況、世帯/本人の年収、利用している福祉制度、就学・就労状況などを尋ねた。また、困っていること、不安に思っていることを自由記述にて回答を求めた。本調査の分析にあたっては、厚労科研研究班(研究代表者・檜垣高史)からの協力を得て行った。回答数は581件で、その内訳は0歳~18歳未満276件、18歳~65歳未満305件であった。【結果】学齢期では就学の場が多岐にわたっている。また、親の付き添いを求められるケースは依然として多い。改正された小児慢性疾病・難病患者への医療費助成は前回に比べて利用率が高まっていたが、一方で、20歳未満への障害児への手当や成人後の障害年金の取得状況には変化が見られなかった。さらに、コロナ禍が患者の学校生活や就労に多くの制限をもたらしていたことがわかった。【考察】コロナ禍における患者・家族の状況をふまえ、心臓病児の教育環境の整備、患者・家族への福祉施策の充実が望まれている。