[II-P03-5-03] 18トリソミー、両大血管右室起始を背景として、反復する高度房室ブロックによりペースメーカー植え込み適応を検討した8歳女児例
キーワード:18トリソミー, 高度房室ブロック, ペースメーカー
【背景】18トリソミー(18T)は3500~8500人に一人の割合で発生する、生命予後不良な染色体異常である。かつてのガイドライン(GL)では治療介入に対し消極的な方針であったが、医療・福祉の発展を背景に2004年新たなGLが策定され、画一的ではなく個々の患児に対し最善の利益を見出す方針が提唱された。高度房室ブロックにより症候性徐脈を認める場合はクラスIに該当するが、小児におけるペースメーカー植え込み(PMI)の適応に関しては依然慎重な議論が必要である。【症例】18Tの8歳女児。身長86cm、体重7.3 kg、少しずつ成長発達を認めている。診断はDORV、large VSD、mild PS(monocuspid PaV)、bicuspid AoV、mild TRであり、出生後から肺体血流のバランスが保たれ、これまで手術介入なく内科的管理のみで外来経過観察となっていた。7歳ごろから高度AVBに伴う徐脈が出現し、心不全となり入退院を計5回反復している。抗心不全治療を強化し、β刺激薬(デノパミン)の大量投与などの内服薬治療へ切り替え、AVB改善傾向になれば外来管理としていた。5回目の入院は、感冒を契機として徐脈をきたし、デノパミン増量では改善せず、心不全の急性増悪(HR=50-60/min、BNP=100-150→9276pg/mL)を認めた。1回の入院は平均4週間程で、繰り返す入退院により著しくQOLが損なわれており、QOL改善を目的とした積極的治療介入(PMI)を検討し、本症例では体形や血管走行が特異であり心外膜リードを選択する予定である。薬物療法による管理には限界がある一方で、18Tに対するPMIの場合、全身麻酔を含む術前後のリスクもある。患児家族の状況や意向を把握し、患児の最大の利益を考慮して医師をはじめ多職種での議論を進めている。【まとめ】高度AVBを伴う18Tの8歳女児におけるPMIの適応に関して、慎重に議論を進めている。