[II-P03-5-05] A case of a 10-year-old girl with LQT7 (Andersen-Tawil syndrome) who was diagnosed with sudden lower limb weakness.
Keywords:Andersen-Tawil症候群, KCNJ2, p.Arg67Trp
【背景】LQT症候群は約90%がLQT1-3に属するため、その他のサブタイプに関する臨床情報は限られている。Andersen-Tawil症候群(ATS)は1971年に報告された100万人に1人と極めて稀な疾患で、周期性四肢麻痺、不整脈・心電図異常、先天小奇形の3徴を特長とする常染色体顕性遺伝性疾患である。QT延長を認めるためLQT7と呼ばれるが、前胸部誘導でU波を認めるのが特徴である。本疾患はKCNJ2遺伝子という内向き整流カリウムチャネルKir2.1αサブユニットの遺伝子異常が原因で、周期性四肢麻痺などを引き起こす。症例数が少なく治療法も未だ確立されていない貴重な症例であるため、臨床経過について報告する。【症例】生来健康な10歳女児。突然の下肢脱力で歩行困難となり来院した。下肢脱力感に加え、CPK上昇があり、筋疾患やギランバレー症候群、周期性四肢麻痺が鑑別に挙がった。身体所見上、手の力は入るが、起立時に膝からの脱力を認め歩行困難だった。CPKは1428U/Lと上昇し、胸部単純写真上特記事項なく、心電図所見は正常洞調律、軸は正常軸、QTc=0.370s、QUc=0.640s、負荷所見なく不整脈もなかった。ホルター心電図にてTdPなど心室頻拍はなく、運動負荷試験も陰性だった。次世代シーケンサー(NGS)パネル検査にてKCNJ2遺伝子に既知の病的バリアント(p.Arg67Trp)を認め、ATSと診断した。その後acetazolamide 250mg/dayを投与し脱力症状は改善している。【まとめ】四肢麻痺発作で発症したATS/LQT7の一例を経験した。現状、不整脈に関しては無症候でありQTc, QTuの延長も認めないため経過観察している。ATSの表現型は多彩で、不整脈を認めないATSの場合、NGSが有用な診断手段となりえる。