[II-P03-5-07] 心疾患児における災害対策 ~医療者ができること、患者および家族ができること~
キーワード:災害, 心疾患児, 災害時対応ノート
災害は忘れたころにやってくる時代は終わり、忘れる前におこっている。今後南海トラフ地震は必ず起こりうる。一般に循環器系は、災害時におけるストレスの影響を最も受けやすい部位であることは知られている。そのため、基礎に心疾患を持っている患児は、災害弱者である小児の中でもより災害時要配慮者にあたる。心疾患児は、利尿剤や抗凝固剤などを内服したり、在宅酸素療法など医療的ケアを行っていたりすることが多く、避難所生活は困難を余儀なくされる。災害時には、病院も被災して機能不全になったり、児が病院まで受診することが困難になったりする可能性が高い。そのため、自助が非常に重要になってくる。愛媛県では、以前から小児在宅医療的ケア児の災害時対応ノートを作成している。もともと医療的ケア児とその家族が自分たちで自分たちをまもるために作成したものであるが、心疾患児もこのノートを作成することで、平時から準備や検討をしていないといけないことを把握することができる。また、心疾患児は発達障害を併発している児も多く、避難所での集団生活の困難感も生じる。避難所での生活訓練をすることで、児や家族が災害時に避難所で生活することに慣れたり、避難所での不便さや必要なものが把握ができる。なお、演者は小児周産期医療と災害医療のコーディネートを行う災害時小児周産期リエゾンという立場にある。その立場から、平時から何をしておくべきかを患児及び家族で理解しておくために、災害対策に関して日頃から発信していく必要がある。近日中に、地元の心臓を守る会といっしょに、平時からすべきことを学ぶ災害をテーマにした研修会と、災害訓練、避難所体験を計画している。