[II-PD9-2] 新規移植施設としての患者受け入れ限界と挑戦
Keywords:心臓移植, EXCOR, 長期待機
【緒言】当院は2023年8月に小児心臓移植実施施設として認定された。また、2024年3月までにEXCORは12名に装着してきている。【背景】当院ではEXCOR 装着12例中4例が移植に到達し、2例が離脱、1例が死亡、5例が装着中である。平均装着時年齢は3.2歳(2ヵ月-9歳5ヵ月)、平均体重は9.3 kg(4.1-22.0kg)で、装着時のpump sizeは10mlが4例、15mlが4例、25mlが4例であった。平均装着期間は698日(83-1816日)。現在、Status1 が5例、Status2が2例で、Status1は全てEXCOR装着中、Status2の2例は外来管理中である。【症例・考察】最も悩ましいのはECXOR装着中の血液型AB(+)型の3例である。本邦では心臓移植件数が増えてきているとはいえ、待機患者数に比して少ないのが現状である。AB型の3例の待機日数はそれぞれ1816、1751、1064日と長期に及んでおり、その3例を中心としたEXCOR装着下での長期待機に伴う適応限界を感じている。当然、患児の心不全・不整脈管理に加え、送脱血管皮膚貫通部の感染のコントロール、pump血栓・脳血管障害などに悩まされている。適応限界という意味では、血液型・体格など長期になることを見越して、BiVADが必要になる可能性がより高い症例は、リスクの高いものとして認識すべきかもしれない。現在までに当院では心臓移植は未実施である。移植のための病棟工事、マニュアル作成等を実施し、シュミレーションも2度行い準備は整っている。【今後】今後の挑戦としては、EXCOR管理はこれまでの経験に加えてコメディカル含めたサポート体制は充実しており、人員不足さえ解消されればEXCORの数自体を増やすことも検討できる。長期待機患者のこれまで以上の安定した管理、そして当院での移植手術を成功させ患児の自宅退院、これが我々の使命である。