[II-PSY3-3] 先天性気管狭窄を合併したチアノーゼ性心疾患への取り組み
Keywords:先天性気管狭窄, チアノーゼ性心疾患, SPシャント
【緒言】先天性気管狭窄には様々な先天性心疾患を合併するが、チアノーゼ性心疾患に対しては気管形成術中の術野汚染により、人工物を用いたシャント、心室肺動脈導管が使えない状況下での治療を要し、手術は困難を極める。【当院の取り組み】当院では本疾患群に対し、[1] 自己組織での心内修復可能例では同時手術(気管形成+心内修復)、[2]長時間人工心肺が予測され、気管狭窄の症状が安定している場合は段階的手術、[3]単心室症例では可能であれば両方向性グレン手術と同時に気管形成術、[4]気管形成と同時にSPシャントを要する症例では、adjustable native tissue shunt (Melbourne shunt / Waterstone shunt)、を症例に応じて選択している。加えて、長時間人工心肺補助を要する同時手術が避けられない症例に対し、人工心肺下での心臓手術に続き、ECMO下での気管形成を行う方針とし、近年では更に人工心肺(開放)回路と閉鎖回路の並列回路を開発し、切れ目のない補助循環の移行と気管形成中の凝固能の適正化が可能となった。【治療成績】2010年以降、気管形成術を要した先天性心疾患67例中、チアノーゼ性心疾患は17例に認め、心疾患の内訳はSV: 4(Asplenia 2), TAPVC: 3, TOF: 3, DORV: 3, PA-VSD: 4であり、PAを6名に、MAPCAを1例に合併した。段階的手術を6例に、同時手術を11例に施行した。代表的な同時手術として、TAPVC repair:3例、BDGを:2例、Melbourne shunt: 3例、Wanterstone shuntを1例に施行した。また、palliative RVOTRを1例に施行した。在院死亡は2例(TA, PS: 術後Alagille症候群発症) (TOF, MAPCA: 術後気道出血)、遠隔死亡は2例(共にasplenia, SV;肺出血、突然死)であった。【結語】Classical SP shuntの適正使用と人工心肺装置の改良により、従来は救命困難とされたチアノーゼ性心疾患合併先天性気管狭窄も救命可能となりつつある。