[II-PSY3-5] 気道疾患を合併した先天性心疾患の術後呼吸管理
キーワード:気道疾患, 呼吸管理, 心肺相互作用
先天性気管狭窄(CTS: Congenital Tracheal Stenosis)、気管軟化症などの気道疾患は、先天性心疾患(CHD: Congenital Heart Disease)に合併することが多く、術後管理では呼吸循環の相互作用を意識しながらの繊細な管理が要求される。肺高血圧クライシスのリスクがある症例では高二酸化炭素血症が許容されず、想定以上の高気道内圧管理を要することもあるため、経肺圧などの基本的概念の理解は必須である。また、小児の気管絶対径は小さく、わずかな分泌物貯留や気管と気管チューブの軸のずれで気道抵抗が容易に変化することから、auto-PEEPを意識し循環への影響が最小限となるように呼吸管理しなくてはならない。
小児の気道疾患は高気道抵抗病態が主体であるが、”狭窄”と”軟化”ではメカニズムが異なるため、呼吸管理のポイントも異なる。気管狭窄症は気道内圧負荷でも気管の形態の変化がないrigidな病態であり、過剰なPEEPはauto-PEEPの増大をきたす。呼気時間を十分にとる設定や、呼気介助など呼気の気流を増加させる手技が有効である。一方、気管軟化症は気道虚脱によるsoftな病態であり、気道内圧負荷がいわゆる気道のstentとして作用する。呼気時に気道虚脱を防止する高めのPEEPと啼泣させない鎮静管理が重要である。軟化の程度は、術後急性期の浮腫により一時的に悪化するため、適切なPEEPについてはその都度臨床的に判断していく必要がある。
“気道疾患を合併した先天性心疾患術後の呼吸管理”において絶対的な正解は存在しない。気道疾患と先天性心疾患の組み合わせは無数であり、それゆえに呼吸管理方針を一般化することは困難である。私たちにできることは、個々の気道の病態を理解し、心肺相互作用を念頭においた呼吸管理を実践することである。
小児の気道疾患は高気道抵抗病態が主体であるが、”狭窄”と”軟化”ではメカニズムが異なるため、呼吸管理のポイントも異なる。気管狭窄症は気道内圧負荷でも気管の形態の変化がないrigidな病態であり、過剰なPEEPはauto-PEEPの増大をきたす。呼気時間を十分にとる設定や、呼気介助など呼気の気流を増加させる手技が有効である。一方、気管軟化症は気道虚脱によるsoftな病態であり、気道内圧負荷がいわゆる気道のstentとして作用する。呼気時に気道虚脱を防止する高めのPEEPと啼泣させない鎮静管理が重要である。軟化の程度は、術後急性期の浮腫により一時的に悪化するため、適切なPEEPについてはその都度臨床的に判断していく必要がある。
“気道疾患を合併した先天性心疾患術後の呼吸管理”において絶対的な正解は存在しない。気道疾患と先天性心疾患の組み合わせは無数であり、それゆえに呼吸管理方針を一般化することは困難である。私たちにできることは、個々の気道の病態を理解し、心肺相互作用を念頭においた呼吸管理を実践することである。