Symposium 5

[II-SY5-2] 4D-flow MRIによるフォンタン術後患者における門脈血流動態解析

^○稲毛 章郎^1,2, 水野 直和³, 吉敷 香菜子², 佐藤 麻朝², 齋藤 美香², 松村 雄², 小林 匠², 浜道 裕二², 上田 知実², 矢崎 論², 嘉川 忠博² (1.日本赤十字社医療センター 小児科, 2.榊原記念病院 小児循環器科, 3.榊原記念病院 放射線科)

Keywords:FALD, 門脈, 4D-flow MRI

【目的】4D-flow MRIによる門脈血流動態解析にて、FALDの評価に対する新たな指標を考案すること。
【方法】フォンタン術後患者と健常者の門脈本幹を4D-flow MRIにて撮像し、kinetic energy (KE; 単位mJ/mL)、血流のエネルギー損失であるenergy loss (EL; 単位mW/mL)、壁面剪断応力であるwall shear stress (WSS; 単位Pa)、螺旋血流の強さの指標であるhelicity (単位m⁴/s^-2) を測定した。KEとELは門脈本幹内腔容量で除して標準化し、helicityは時計回転および反時計回転の螺旋をベクトル量で定義し合算値とした。全てのパラメーターは一心周期内での平均値を算出し、フォンタン術後の門脈血流動態を評価した。4D-flow解析はCardio Flow Design社製iTFlow2.1で行った。
【結果】フォンタン術後15名 (F群; 19.3 +/- 6.4歳、男性9名) と健常者5名 (N群; 35.0 +/- 7.0歳、男性5名) に対して、門脈本幹の4D-flow MRIを撮像した。F群の診断はDORV 4例、PA(PS)/IVS 4例、Ebstein奇形 2例、SLV、SRV、TA、TGA、AVSDが各1例で、全例開窓のないTCPC術後であった。13例で同時期にカテーテル検査を施行し、CVP (mmHg) は11.6 +/- 4.4であった。KEは (F vs. N; 3.08E-03 +/- 1.22E-03 vs. 4.38E-03 +/- 4.50E-03, p＜0.05) でN群の方が高く、WSSは (F vs. N; 1.34 +/- 0.27E vs. 1.04 +/- 0.26, p＜0.05) でF群の方が高かった。ELはF群、helicityはN群の方が高くなったが有意差は認めなかった。Helicityでは、両群共に反時計回転の螺旋流が多かった。KEはEL (r=0.69) およびWSS (r=0.75) と相関を認めたが、CVPと相関を認めたパラメーターはなかった。
【考察】健常者が少ない検討ではあるが、フォンタン術後の門脈は健常者に比し、WSSが高くkinetic energyが低い螺旋の少ない血流であった。今後症例数を増やし詳細な検討を行い、FALDの評価における門脈4D-flow MRIの有用性を確立していきたい。