The 60th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Symposium

Symposium 7

Fri. Jul 12, 2024 4:40 PM - 5:55 PM ROOM 5 (4F 413+414)

座長:小澤 綾佳(富山大学医学部小児科)
座長:小垣 滋豊(大阪急性期・総合医療センター 小児科・新生児科)

[II-SY7-2] 拡張型心筋症における遺伝子診断の意義

廣野 恵一 (富山大学 医学部 小児科)

Keywords:拡張型心筋症, 遺伝子, 予後

拡張型心筋症は、左室のびまん性収縮障害と左室拡大を特徴とする疾患群と定義され、小児では心エコーにて一般的に左室拡張末期容積が体表面積の標準値の2SD以上かつ左室駆出率が50%以下を拡張型心筋症と診断される。心臓突然死のような有害事象のリスクが高い患者や予後不良の患者群も存在するため、正しく診断し、リスクのある患者を特定することは、最適な治療とフォローアップのために極めて重要である。
拡張型心筋症の約30~40%に家族性があり、小児期ではミトコンドリア遺伝や常染色体顕性遺伝形式をとるものが主体であり、X連鎖性や常染色体潜性遺伝形式はまれである。家族性拡張型心筋症については、50以上の原因遺伝子が報告されており、その多くがイオンチャネル、サルコメア、Z ディスク、核タンパク質、デスモソームをコードしている。孤発性の拡張型心筋症の場合は15~25%、家族性拡張型心筋症の場合は20~40%であり、TTN、LMNA、MYH7、TNNT2が主要な遺伝子である。伝導障害を伴う拡張型心筋症の場合、LMNA遺伝子変異が1/3に認められる。低年齢で拡張型心筋症と診断された患者、特に拡張型心筋症の家族歴がある患者は、遺伝的病因のリスクが高くなることが知られている。
本シンポジウムにおいて、我々の知見も交えて心心血管イベントに対するリスク層別化のための遺伝子診断の意義についても論じてみたい。