[II-SY7-5] ミトコンドリア心筋症における遺伝子診断の意義
Keywords:ミトコンドリア心筋症, 遺伝子診断, 呼吸鎖酵素活性
ミトコンドリア心筋症は、「心筋におけるミトコンドリア構造、機能に関わる遺伝子の異常によって生じる酸化的リン酸化障害(OXPHOS)を特長とする心筋症」と定義される。すなわち原因遺伝子バリアントの同定が重要である。遺伝子バリアントは核DNAおよびミトコンドリアDNA(mtDNA)のいずれによっても生じ、mtDNAの病的バリアントによる心筋症では心筋における変異率も考慮する必要がある。ミトコンドリア病遺伝子診断は我が国で保険償還されており、mtDNA全長と既知の核DNA病的バリアントを遺伝子診断パネルや全ゲノム解析などにより診断する。次世代シーケンサーの発達によりミトコンドリア心筋症の新規原因遺伝子が次々と同定されてきており、原因不明な心筋症において遺伝子検査によって診断に至った症例も多くみられるようになった。本シンポジウムではまずミトコンドリア心筋症を積極的に疑うべき臨床像、心筋病理像について解説し、確定診断へ進むための心筋超微形態像、呼吸鎖酵素活性、免疫染色法について報告する。さらに遺伝子診断の現状について報告したい。