[II-TRP1-1] 患者本人に対する対する説明の重要性
キーワード:インフォームド・コンセント, 意見表明権, 意思決定支援
患者の主体的な意思の尊重、インフォームド・コンセント原則の実践、患者の自己決定権の保障は患者の権利の中核であり、これら患者の人格的自律権を保障することが重要である。他方、説明を理解し意思決定をするために援助を必要とする患者について、その十分な援助がないために、患者自身の自己決定が軽視される危険性が指摘される。しかし、子どもは自身の受ける医療について自由に自己の意見を表明する権利を有し、その意見は、年齢と成熟度及び当該医療の内容にしたがって、相当に考慮されなければならない(意見表明権・子どもの権利条約第12条)。障害者総合支援法に盛り込まれた「意思決定支援」の概念は、国連障害者権利条約に由来し、本人が「意思決定することができない」という判断をする前に、身近にある支援者や家族等が本人に寄り添い、本人が自分で意思決定ができるように必要な情報をその人の特性に応じて提供するなどし、本人が意思決定をすることが可能となるに様々な合理的配慮を尽くす実践の総体であるとされる。このような意思決定支援は、日常的・社会的な生活を送る上で必要とされるあらゆる場面において必要であり、その理念は医療を受ける場面にも適用される。このような意味での医療における意思決定支援の理念は、高齢者や障がい者に限らず、子どもについても、患者本人の人格的自律を保障するという観点から有用である。また、患者が年齢と成熟度その他理解力及び判断力に応じた説明を受け、決定し又は意見を表明することができるよう、これらを促すための仕組みや専門家の役割が重要である。