第60回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

学校保健・疫学・心血管危険因子

一般口演23(III-OR23)
学校保健・疫学・心血管危険因子

2024年7月13日(土) 09:00 〜 10:00 第6会場 (4F 401-403)

座長:手島 秀剛(市立大村市民病院 小児科)
座長:桃井 伸緒(福島県立医科大学周産期小児支援講座)

[III-OR23-02] 学童期家族性高コレステロール血症におけるIntima-Media ThicknesとFlow-Mediated Dilatation

岩島 覚, 早野 聡, 關 圭吾 (中東遠総合医療センター小児循環器科)

キーワード:家族性高コレステロール血症, 学童生活習慣病検診, スクリーニング

[はじめに]家族性高コレステロール血症(FH)は小児期から対策が必要な重要な循環器病の一つで、令和5年3月第2期となる循環器病対策推進基本計画においても取り上げられ、日本の一部で学童生活習慣予防検診としてFHのスクリーニングが行われている。本研究の目的は小児期FHにおけるIMT,FMDについて検討することである。 [対象、方法]学童生活習慣病予防検診もしくは機会採血にて総コレステロール値が 220 mg/dLの15歳未満の小児を対象とした。FHの診断については小児家族性高コレステロール血症診療ガイドライン2022に準じ、初診時および経過中のIntima-Media Thickness (IMT)とFlow-Mediated Dilatation(FMD)について評価した。6歳未満の小児についてはFMD困難なため除外した。[結果]78例がFH疑いで二次スクリーニング検査が施行され、このうち14例が除外され、FH確診38例、probable2例、possible24例であった。FHとprobableをFH_A群、その他をFH_B群と定義し、IMT、FMDはFH_A群 34例、FH_B群14 例に施行された。初診時、2群においてにおいてIMT,FMDとも有意差を認めなかった。FH_A,B群について年齢カテゴリー (10歳未満と10 歳以上) に分類して検討した。IMTについては10歳未満、10歳以上ともに有意な差を認めなかった。FMDについては10歳未満においてFH_A,B群で有意な差を認めなかったが、10歳以上ではFH_A群においてFH_B群に比しFMDの有意な低下を認めた(Table, Figure)。 [まとめ]今回、我々はスクリーニング検査以後の診療にIMTおよびFMDを組み入れ10歳以上のFH症例においてはFMDが早期より低下することから、FH診療において早期動脈硬化性病変の検出にはFMDが鋭敏な指標であることがわかった。FHの早期発見、治療は将来的な循環器病の予防対策に重要であり、現在、日本の一部地域で行われている学童期スクリーニングを普及させる必要がある。