第60回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

多領域

一般口演28(III-OR28)
多領域2

2024年7月13日(土) 11:20 〜 12:20 第7会場 (4F 404-406)

座長:吉田 佳織(大阪母子医療センター)
座長:高 寛(岡山大学病院 臨床工学センター)

[III-OR28-03] 行動制限を必要とする長期入院患者への発達支援

森 百合香1, 小林 佳代子1, 飯田 涼子1, 岡田 典隆2, 大島 康徳3, 田中 優3, 安田 和志3 (1.あいち小児保健医療総合センター 21病棟, 2.あいち小児保健医療総合センター 心臓血管外科, 3.あいち小児保健医療総合センター 循環器科)

キーワード:発達支援, 多職種カンファレンス, 情報共有

【はじめに】乳児期から年単位で様々な制限のある入院生活を送る児に対し、成長発達を促すことは小児看護を行う上で重要な課題である。多職種カンファレンスで発達支援を検討し実践した症例を報告する。【症例】心臓移植待機中の3歳8ヵ月女児。生後10ヵ月時から体外式補助人工心臓を装着し体幹抑制を行っている。暗記力や語彙力が高く二語文を話すが、自己表現や苦痛に対する言語的表現が苦手であった。【看護の実際】児の社会性や言語発達に偏りが生じていたが、児の発達に対して医療者間で認知や捉え方に違いがあり、統一した対応ができていなかった。そこで、問題点を抽出し課題を明確にするため、多職種カンファレンスを行った。社会性と言語発達を促すために「児の辛い気持ちを代弁し思いを引き出すこと」、「評価だけでなく体験としての声掛けを行うこと」を医療者と家族で共有し、日々実践した。実践による変化や児の成長発達について話し合う場を設け、家族と共に児の成長発達を月単位で評価した。【結果】児は取り組み前よりも感情に適した言葉を用いて自己表現ができるようになり、気持ちの切り替えもスムーズになった。【考察】医療者や家族が場面毎で児の気持ちを推察し、その感情を言語化し続けたことで、児は感情に適した言語表現を学び、自己表現ができるようになった。家族を含む多職種で児について話し合ったことで現状を適切に評価し、具体的な対応策を実践することができた。【結論】限られた生活の中でも最大限子どもの成長発達が促せるよう、家族を含めた医療チームで児の成長発達を多角的に評価し、子どもの視点で介入方法を検討し実践することが重要である。