[III-P01-1-08] Perioperative dynamic state of blood coagulation factor XIII in congenital heart disease surgery
Keywords:乳び胸, 難治性胸水・心嚢液, 血液凝固第XIII因子
【背景】
先天性心疾患(CHD)手術領域において,術後の乳び胸,及び難治性胸水・心嚢液(PE)に対する組織修復促進目的の血液凝固第XIII因子(FXIII)補充療法の有用性が示されつつあり,当院でもこれまでにCHD術後のFXIII早期補充療法の有用性を示している.
しかし,CHD手術におけるFXIII周術期動態を示した報告はなく,補充療法の至適な介入時期や投与期間等は明らかでない.
今回,CHD手術におけるFXIII周術期動態を明らかにし,補充療法の意義を検討した.
【方法】
2023年2月から2024年1月の間に手術したCHD97例を対象とし,患者背景,手術,術後経過,周術期FXIII値(術前日,術終了時,術翌日,退院時)を後方視的に検討.
【結果】
全体の周術期FXIII動態は,術前日(中央値86[四分位範囲71.5-107]%)から術終了時(49[35.5-62.5]%,p<0.01)までは有意に低下,術翌日(85[73-100]%,p<0.01)には有意に上昇し,退院時(87.5[68.3-114.5]%,p=0.69)までは横ばいで推移.
しかし,入院期間中完全無輸血,FXIII補充なし症例(ASD/VSD閉鎖9例)では,術前日(96[91-107]%)から術終了時(59[56-64]%,p<0.01)まで有意に低下し,術翌日(74[71.5-77.3]%,p=0.06),退院時(70[62-87]%,p=0.22)は術終了時との間に有意差を認めず,術前日よりも有意に低値のままであった(p<0.01).
また,全体のうち周術期にFXIII補充療法を行った35例と,補充しなかった53例(無輸血例除く)の周術期FXIII動態を比較すると,術前日,術終了時,術翌日のFXIII値に差はなく,全体の周術期FXIII動態と同様の推移を示したが,退院時FXIII値は有意に補充療法を行った群で高値であった(194[115-233]vs85[68.5-98.5],p<0.01).
【まとめ】
CHD手術における周術期FXIII動態は,手術終了時に最低値となる周術期動態を認め,特に完全無輸血,FXIII補充なし例では退院時までFXIII値低迷は遷延した.しかし,周術期にFXIII補充療法を行った症例では,補充を行わなかった症例に比べ,有意に高い退院時FXIII値を認めた.
先天性心疾患(CHD)手術領域において,術後の乳び胸,及び難治性胸水・心嚢液(PE)に対する組織修復促進目的の血液凝固第XIII因子(FXIII)補充療法の有用性が示されつつあり,当院でもこれまでにCHD術後のFXIII早期補充療法の有用性を示している.
しかし,CHD手術におけるFXIII周術期動態を示した報告はなく,補充療法の至適な介入時期や投与期間等は明らかでない.
今回,CHD手術におけるFXIII周術期動態を明らかにし,補充療法の意義を検討した.
【方法】
2023年2月から2024年1月の間に手術したCHD97例を対象とし,患者背景,手術,術後経過,周術期FXIII値(術前日,術終了時,術翌日,退院時)を後方視的に検討.
【結果】
全体の周術期FXIII動態は,術前日(中央値86[四分位範囲71.5-107]%)から術終了時(49[35.5-62.5]%,p<0.01)までは有意に低下,術翌日(85[73-100]%,p<0.01)には有意に上昇し,退院時(87.5[68.3-114.5]%,p=0.69)までは横ばいで推移.
しかし,入院期間中完全無輸血,FXIII補充なし症例(ASD/VSD閉鎖9例)では,術前日(96[91-107]%)から術終了時(59[56-64]%,p<0.01)まで有意に低下し,術翌日(74[71.5-77.3]%,p=0.06),退院時(70[62-87]%,p=0.22)は術終了時との間に有意差を認めず,術前日よりも有意に低値のままであった(p<0.01).
また,全体のうち周術期にFXIII補充療法を行った35例と,補充しなかった53例(無輸血例除く)の周術期FXIII動態を比較すると,術前日,術終了時,術翌日のFXIII値に差はなく,全体の周術期FXIII動態と同様の推移を示したが,退院時FXIII値は有意に補充療法を行った群で高値であった(194[115-233]vs85[68.5-98.5],p<0.01).
【まとめ】
CHD手術における周術期FXIII動態は,手術終了時に最低値となる周術期動態を認め,特に完全無輸血,FXIII補充なし例では退院時までFXIII値低迷は遷延した.しかし,周術期にFXIII補充療法を行った症例では,補充を行わなかった症例に比べ,有意に高い退院時FXIII値を認めた.