[III-P01-1-09] Beta-blockers after Fontan procedure
Keywords:フォンタン術後, β遮断薬, Holter心電図
【背景】高い中心静脈圧(CVP)と低い心拍出量を特徴とするフォンタン循環は、慢性心不全に類似した循環であり、遠隔期に様々な臓器合併症を呈することが課題である。成人領域では慢性心不全に対するβ遮断薬の有用性が確立されているが、フォンタン循環におけるβ遮断薬の有効性については明らかになっていない。【対象と方法】 2012年12月から2022年2月にHolter心電図を施行したフォンタン術後患者62例を対象として、β遮断薬服用の有無で2群に分け(β+群[n=25]、β-群[n=37])、総心拍数(THB)、最低心拍数(min HR)、最高心拍数(max HR)、平均心拍数(mean HR)、上室期外収縮および心室期外収縮と循環動態指標(CVP、肺動脈楔入圧:PCW、駆出率: EF、BNP、AST、ALT、LDH、γGTP)との関連を検討した。また49例では、心拍変動(HRV)についても心疾患予後と密接に関連するとされるSDNNをはじめとした各指標との関連を検討した。【結果】β遮断薬の有無に関わらず、高いmin HRはSDNN低下およびRMSSD[副交感神経活性指標]低下(いずれもp<0.0001)と相関し、好ましくないフォンタン循環との関連が示唆された。THB, max HR、mean HRについては両群間で差を認めなかったが、min HRはβ+群の方が有意に高かった(p=0.0364)。循環動態指標ではβ+群のEFが有意に低く(p=0.0444)、HRV指標ではSDNNも有意に低下していた(p=0.0278)。β+群で検討を行うと、高いLF/HF比[交感神経活性指標]とEF低値が相関した(p=0.0322)。β+群におけるmin HRの平均値をcut offとして2群に分けて検討を行うと、min HRの高い群で有意にSDNNが低く(p=0.0009)、フォンタン循環においても心拍数管理、特にmin HRの管理が予後改善に寄与する可能性がある。【結論】心拍数管理はフォンタン循環においても有用と考えられ、HCNチャネル遮断薬の有用性も含め、フォンタン循環における至適心拍数に関して今後も検討が必要である。